2008年7月21日 (月)

ダグラス・サークに酔おう

 今日からぴあフィルムフェスティバルでダグラス・サーク特集が始まるので、とりあえず最初の回の「風と共に散る」を鑑賞。今回の上映作品のほとんどがDVDでも観たことがあるのだが、やはり35ミリプリントで観なくてはいけないと思い立ったのだ。「風と共に散る」は、20年前にダニエル・シュミットの「人生の幻影」と言う、ダグラス・サーク自身を追いかけたドキュメンタリー映画の中で紹介されていた時に、ドロシー・マローンが踊りながら服を着替えていくシーンが非常に扇情的で、その後字幕なしのプリントを観たり、DVD買ったりはしていたけど、久々にこの映画を観ると、このシーンはダニエル・シュミットがテクストとして挿入していたのが当たり前のように素晴らしい。ドロシーマローンのセクシャルなダンス(当時31歳のようだからこの年代ではもう容色衰え始めている年代なのに不良娘の役と言うのがエグイ)しながら服を一枚一枚脱ぎ去っていき、そこに音楽がどんどん盛り上がっていく場面と、怒りに打ち震える父親が複雑な心境で階段を上がっていく場面と、ローレン・バコールが不安に想いを馳せる場面が絶妙のモンタージュで構成され、音楽が最高潮に達した時に、父親がこの階段を一気に落下していくと言うまさに運動する個体が感情をほとばしらせていく「これが映画の最高の表現だ!」と言うべき表現だった。ここではドロシー・マローンがスイッチを入れた電気蓄音器のレコードの音が、そのまま劇伴になって、リアルでは音が届かない父親の登って行く階段とローレン・バコールの部屋を結ぶのだが、この音の使い方も絶妙だ。

 こう言う最良の映画を観ると自分なんか恥ずかしくって恥ずかしくっていられなくなるが、一方でまだまだ映画の表現は再構築すべきことがたくさんあると奮起したくなります。これから2週間、ぴあフィルムフェスティバルは続きますが、これを機会に是非とも「ダグラス・サーク特集」を観て、「本物の映画とは何か?」を体感してきて欲しいと願います。ここにこそ映画の全ての面白さが詰まっていると言えるのです。

 http://www.pia.co.jp/pff/festival/30th/lineup/index.html

 そう言えば会場では柳下さんと会って軽く歓談し、終了後はぴあの森本さんに会ったけど、森本さんは、20年以上前に僕がぴあフェスで映写のバイトをしてい頃からの知り合いでいつも顔を合わすと、物凄く爽やかな笑顔を見せてくれる人です。東京に出てきた年から知り合いになって、今でもこの業界にる数少ない人の一人になりました。

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2008年7月20日 (日)

FOMAで快適

 NMPを使ってようやくKDDIからDOCOMOへ機種変。FOMA F905iをバリュー一括で購入。安く買うために夫婦で新浦安まで行ってのキャリア変えだったが、メールとネット接続中心に考えるなら繋がり易いDOCOMOがやはり快適。それにどうせ買うならスペックが低いauの新機種よりFOMAの方が絶対にお得だと思ったからだ。2年前まではauの方が機種も悪くなかったしインフラ面でも問題なかったんだけど、ここ数年のDOCOMOのインフラ整備による繋がりの良さと、ワンセグ機種になってからauの機種のスペックの低さはどう考えてもMNPでDOCOMOから流出が多いことへ胡坐をかいていたとしか思えない。そうこうしているうちにDOCOMOが価格面でも市場に殴りこみをかけてきて、最早auにこだわる理由はなくなった。まあ、僕はもともと激安だった時代のTUKAユーザーでauにTUKAが統合されて自動的ににauユーザーになっただけだったのだが・・・。

 そう言えば音楽の遠藤氏からiPhoneを見せて貰ったけど、あれは携帯電話と言うよりは電話も出来るモバイルPCと言った感じですね。日本の携帯電話ヘビイユーザーが欲しがるものとはまた別なもののような気がします。ただ、僕らのような仕事をしているものにとってはあれだけのギガ数の端末は魅力的で、クイックタイムで編集された映像を自宅以外でも開けて確認できたるすると、今後さらに作業は早くなりそうな気はします。iPhoneがDOCOMOからも出てメール機能やワンセグが使えると絶対購入したくなるかも。

 

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2008年7月19日 (土)

歩いても歩いても

 阿部寛さんから頂いたチケットで「歩いても歩いても」を鑑賞。三浦海岸を舞台にした、どこにでもありそうな、それでいてちょっと複雑な家族の1日を描いた秀作。いや、日常を描く映画って多いんですが、この映画の俳優さんたちくらいの実力者が出てくる映画はあまりない。まあ、原田芳雄さんが年寄りにはまだ見えなかったり、YOUはやっぱり好きではないんですが、樹木希林さんの独壇場の芝居はやはり見応えがあった。現役の年齢の役者では一番うまいんじゃないかなと。それが演出によるものなのか、俳優の独自のアイディアなのかわからないが、終始主婦として常に何か動きながら芝居をしているのに感心する。それもどれもさりげなくリアルだ。芝居になっていないようで明らかに芝居で、それでいて映画全体の調律を狂わせてしまうようなおこがましさもない。全てが物語に奉仕しながら極めて禁欲的でそれでいて攻撃的な芝居。最近観た映画の芝居でも特筆すべきものだろう。僕は昔から樹木希林さんに憧れていたが、これは彼女の代表作になり得る映画ではないかと思った。映画の方はそれまで一回も移動撮影がなくラストで突如クレーンアップするが、ロッセリーニの「イタリア旅行」のようなたった一回のクレーンの動きに大きな情動を呼び起こすマジックがなかったのがちょっと残念。ここは最後まで禁欲的でも良かったんじゃないかなと。

 阿部寛さんは、生活感がなくってそれが漂泊している都会の男と言うものを説明させないキャラクターで成功していると思いました。まだこれから見る人も多いと思うので詳しくは書けませんが、成瀬巳喜男の映画の中に出てくる上原謙のような不安定な二枚目と言うか、それでいて主役しかやってはいけないキャラクターとして絶対的に映画には必要な存在だと思わせました。彼が主役だから、脇の樹木希林さんが初めて生きて来るし、また樹木希林さんがいるからこそ阿部寛さんも生きてくる。溝口流に言えば「反射している芝居」がそこにある。と言うことなのでしょう。

 いずれにしろ、どれもこれも同じような映画に見える単館系の若い監督の撮った映画の予告編に絶望させられる中、映画としての芯をしっかり持った日本映画に心を癒された気にさせられました。

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