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2006年9月17日 - 2006年9月23日

2006年9月23日 (土)

LOFT ロフト 黒沢清監督

 http://www.loft-movie.com/ 

午後から黒沢清監督の「LOFT」を観に横浜のニューテアトルへ。この古い地下劇場の雰囲気がこの映画にはぴったりあっていた。最近は何か仕事のついでだとか、打ち合わせの合間とかに映画を観る気力が起きないというか体力的なものもあるのか、脳内に映画を観るエネルギーを別に作らないと映画を観ないので、映画を観にいく日は朝から映画を観ることだけしかできないと言う感じになってしまう。要は瞬発的な集中力がとぎれがちなのかなあ。と言うわけで遅ればせながらの鑑賞になったわけであるが、これはなかなかに黒沢さんの意欲作だった。

 黒沢清+篠崎誠による「恐怖の映画史」の実践編と言うか、黒沢さんに言わせれば「まだまだ本当の恐怖はまだ撮れます」と言うことになるのだろうが、湖畔に仕掛けられた自動装置だとかミイラの動きであるとか、起き上がりこぼしであるとか、そういった映画の仕掛けを試してかなり成功している。黒沢映画でゴシックホラー風に進む展開は、ちょっと体裁は違うけど『地獄の警備員」を思い起こさせた。監督はラブストーリーであることを強調していたが、ラストで「めまい」を思い起こさせる突然の転落を見ると頷くところもあったが、ミイラへの想いと中谷美紀への恋慕が重なる歪んだ豊川教授の眼差しはどこか、『地獄の警備員』でヒロインが落としていったイヤリングを自ら装着する富士丸の眼差しに似ていなくもない。狂人の編集長西島秀俊の芝居もいい。ただ、こうした世界観で行くなら、森の中と下界との繋がりは西島編集長だけにしておくべきで、携帯電話が使えたりとか、連絡がまったくとれない環境の中で進ませた方が得策だったのではないかと思ったがどうだろうか?例えば冒頭でビニールの布で包んだミイラを抱きかかえて車から家の中に運ぶ隣人を見たら、アレはどう見ても遺体を運ぶ人にしか見えず、「普通は」まず警察に連絡したりするのではないか?と言う疑問は消し去っておくべきではなかったとか、説明的に進ませるのではなくある寓話世界を作るルールは決めた方が良かったようにも思えた。

 それでも室内に漏れてくる光の使い方とか、緑の中の中谷美紀、湖上の自動装置の異様な美しさは久々にダイナミックな映画を観たと言う贅沢な気分にさせられる邦画で、中谷美紀も最近の映画の中では一番美しかったし、トヨエツの言葉少ない怪人ぶりもよかったし(怪人はシルエットが格好よくなくてはいけないのだ!)、何より西島秀俊の棒読み風の狂人芝居も凄い演出だと思う。いまのところ今年観た邦画ではベストだろう。我らの上に君臨する大帝黒沢清の仕事としてはやはり充分にひれ伏すだけの価値を持った映画ではあった。これは、一瀬さんのところで撮った「叫」も楽しみだ。

 僕はこれを観てトヨエツ主演で「ファントム・オブ・パラダイス」とか撮って観たくなったですよ。

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2006年9月22日 (金)

アプレ ショートフィルム クランクアップ

Sn340037 アプレのワークショップの流れで創るショートフィルムの撮影が終了。今回も撮影、照明を自分でやってみるが、実に楽しかった。勿論俳優のワークショップなので、演出もやりますが、普段は出来ない撮影監督をやれるのがこの枠は何より楽しいかも・・・。今回は、見習い的ながらプロの現場も経験している撮影助手がついたので、重い三脚をセッティングしたりとか肉体労働をしなくてもすんだので、純粋に画作りを楽しめた。特に照明が楽しかった。照明一つでこんなに映像の雰囲気が変わるものかと、改めて再認識。映画と言うのは光をどう味方につけるのかと言うか、コントロールできるのかがかなり重要ではないかとさえ思えてくる。前回は1日に50カット近くも撮ったので、そういうところに凝ることもできなかったが、今回は1シーン1カットを通したので、色や明るさに存分に凝ることができた。久々に純粋に映像を楽しめた仕事だった。 とは言え、他人の映画のカメラはきっとできないだろうなあ。他人の撮りたいものをどう撮るかではなく、いまのところ自分の撮りたいものを自分で撮ることにしか興味がないから、やはり監督業の方が向いているんだろう。映画のほうはこれでもかと言うくらいにフィックスの長回しで芝居を撮っています。

 自主映画時代は8ミリカメラによる撮影だったので、露出計の絞りで光を決定していくのが主だったけど、デジタルビデオカメラの撮影になってからは見た目で決定できるのが楽だ。それでも8ミリの方が生生しい映像が撮れてしまう気がするのはなんでだろう?黒沢清監督の「映像のカリスマ」と言う著書の中に「かつて全ての自主映画監督は8ミリフィルムのカメラマンだった」と言う記述が出てくるけど、商業作品に行くと非常に気にする「イマジナリーライン」だとか、動きや人物の位置の繋がりなど、制度的になっている映画やテレビドラマの創り方を徹底的に無視して撮りたいものを原初的な欲望によって撮ることも映画にとっては重要なことであるのかもしれない。

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2006年9月20日 (水)

撮影前日

 明日から(今日から)ショートフィルムの撮影でいろいろ準備。朝は一瀬さんから電話があって来週会う約束もする。午後は準備の合間を縫って、Bsiで某事務所の女の子のトレーニング。本当はこう言うトレーニングは僕より奥さんの方が得意ではないかと思うのだが、今回は多聞さんからの直接の依頼だったので昼過ぎにBsiに入る。発声などをやってもらったが、全く問題ない。いくつかの修正点はすぐに治るし、何より欲があるのがいい。基礎的なことはすぐに終わって、もっと踏み込んだ演技についてレクチュアしてみたが、改めて自分の勉強にもなったので、中々楽しかった。今回は可愛いと言うよりは美人の子で、こう言うタイプはアンドリウチルドレンにはあまりいないタイプではないだろうか?いずれにしろ将来はスターの道を歩むでしょう。

 2時間ほどでトレーニングは終わって、本当はBsiアカデミーの打ち合わせもしなくてはいけなかったのだけど、明日の段取りでいくつか問題が出てきたので『アプレ』に向かって、プロデューサーの人と共にスケジュールを建て直し。今回は制作、助監督がいないみたいなものなので、僕自ら総合スケジュールを書く。むかしとった杵柄で、多少のアクシデントがあってもあっという間に処理してしまうのは助監督経験があるからだな。とにかく、明日は楽だけど明後日が大変。まずは明後日の天気がよくなることを祈るのみ。

 

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2006年9月19日 (火)

ゴダールは灯油ストーブの匂い

男性・女性 DVD 男性・女性

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2003/11/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 午前中はBsiのショートフィルムのプロット書きをして、昼からスカパーで横浜ー中日戦を観始めるが、例によって例の展開なので途中でやめて、ゴダールの「男性・女性」のDVDを見始める。明後日の撮影の勉強です。内容的には直接関係ないけど、学生たちと映画を創るときは必ずこの映画を見る。いつも、冒頭からしばらくしての、カフェで旦那を撃つ主婦の場面にどきどきしてしまう。「女と男のいる舗道」とかこの頃の商業映画と個人映画の境目にあるような映画が僕は大好きだ。「男性・女性」もある意味シャンタル・ゴヤのアイドル映画であるだろうし。例えば夏帆主演で「男性・女性」みたいな映画もあっていいと思うのだ。

ベスト Music ベスト

アーティスト:シャンタル・ゴヤ
販売元:ミュージックシーン
発売日:1999/04/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 このベストアルバムには『男性・女性』の主題歌も入っているが、とにかく素敵です。

 僕が初めてゴダールの映画を見たのは、札幌のビーチフラッシュの上映会だったのではないだろうか?当時、単館ロードショーなんて概念が映画館になかった時代には、16ミリフィリムを借りて自分たちで自主上映会を開くしかなかった。北大の近くにあった「メゾンパンタグリュエリオン」や「駅裏8号倉庫」なんていう場所で上映していたが、それらの施設はいずれも倉庫やビリヤード場を改装と言うかそのまま使っていただけなので、冬場になると必ず灯油ストーブを炊いていた。この灯油が燃える時の匂いと、モノクロのゴダールの映像が妙にマッチしていて、いまでもゴダールの映画をDVDで見ると北海道の冬の灯油ストーブの匂いを思い出してしまう。他にもたくさん映画は上映したと思うのだが、なぜかゴダールの映画だけが灯油ストーブの記憶と共に残っている。

 あそこが僕の映画の出発点だったからだろう。

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2006年9月17日 (日)

衣装合わせ ロケハン

 午前中からアプレショートムービーの衣裳合わせと脚本読み。今回はメイン3人が170センチ以上の女性。3人ともモデル上がりなのだが、結構迫力あるのではないか?男の方もそれに合わせたわけではないが皆180センチ近い。それぞれの顔の個性が全く違うので撮るのが楽しみだ。今回も自分で撮影をやることに。今回はカメラアシスタントがいるので、前回よりは楽かな。脚本も今までの自分にない世界観なので悩みは多い。撮り方自体は、台湾映画のような1シーン1カットで全て統一していこうと思う。午後からはロケハンで白金~町田の山中へ。開祖千年と言う寺を見て来たが、なかなか趣がある。神奈川県には震災を逃れた古い寺が散在してますね。このロケハンは中々疲れたが実り多かった。

 ところで今日は、中日の山本昌投手がノーヒットノーランを達成した。40代に入ってからのノーノーは珍しいが、これはやはり偉大な記録だ。40代頑張らねばね。黒沢清監督も最近のインタビューでこんなこと言ってますね。

「今、世界の映画監督の頂点にいるクリント・イーストウッドが映画を撮り始めたのは40歳を越えてから。しかも彼ががぜん凄みの増した映画を撮るようになったのは、70歳を過ぎてからです。団塊世代が定年後、仲間が集まって映画をつくる、なんてことがあっても全然おかしくない。どうせなら、ハードルを高くして若者がびっくりするくらいのものを目指してほしいですね」(日刊ゲンダイインタビュー)

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