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2007年4月16日 (月)

中田秀夫監督 「怪談」

只今映画美学校の試写室から帰宅。
 中田秀夫監督の「怪談」を観て来ました。
 日本映画の最も良質な部分を引き継いだ立派な「撮影所」映画です。
 演出、撮影、美術、全てのクオリティがここ数年の日本映画でも類を見ない完成度です。レビューの続きはまた後で書きますが、とりあえずあまりにも素晴らしかったので。

  日本映画がテレビドラマの大型画面化していく中で、『大奥』なんて東映京都が作る映画ですら軽いペラペラな画面構成でしかなかったものが、日本のインディペンデントの映画会社が創る時代劇がかつての大映映画の格調に迫るクオリティを達成できたことが何よりまず嬉しい。中田秀夫監督の映画は殆ど観ているが、僕にとってはこれが最高傑作となったし、中田さんの個人的な積み重ねがあって「怪談」は達成されたのかなとも思う。恐らく10年前に中田さんが一瀬さんと一緒にこの映画の企画をやっても、ここまでの達成度は得られなかったのではないかと思う。人に歴史あり。やはり本当にいい映画はそう簡単にぽんぽん創れるものではない。スタッフの力量も含めて積み重ねだ。
 映画の内容は、いたってオーソドックスな『怪談』映画の流れをふんだんなセットと細部にわたるエキストラの演出まで含めて、良質だった重みのある時代劇を再現していく。物語は「真景累ヶ淵」のストレートな映画化で、怪談映画特有の歌舞伎演出的な技法もふんだんに取り入れている。このあたりは美術、照明の使い方含めて中川信夫的とも言えるが、むしろ中川信夫も歌舞伎の技法を駆使したものであろうから全く正しい怪談映画の作りであると思う。決して中川信夫のパロディにはなっていない本物さがある。
 尾上菊之助の芝居はまさに時代劇のそれで、主役としての華も含めて2時間の時間を彼に預けることが出来る。髷を結っただけで芝居は現代劇だった「大奥」とは雲泥の差があるだろう。
 それでいながら、中田さん特有のショッカー演出も随所に垣間見られ、良質な画面と芝居を堪能しているといきなり頭から水をかけられるような恐怖を与えられたりする。このあたりは「リング」以降の蓄積だろうが、中々怖い。
 
 総製作費は12億であるとプレスには書いてあったが、これくらいの金をかけないと最早映画的な時代劇は成立しないのかもしれない。回収をいうことを考えると、そう簡単には企画できないのかもしれないが、予算があっても時代劇から逃げてしまった某映画のようなことを考えれば、これくらいのことはやって欲しいと思う。
 
 本当に日本映画らしい日本映画を観たが、高校生の頃までは邦画の上映館では普通に観られたことだった。今普通に映画を創り、公開することは本当に大変なことになってしまうのだと思い知ったが、なんとかヒットさせて偽映画を駆逐してもらいたいものであります。

公式サイト 

http://www.kaidan-movie.jp/

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