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2007年8月 3日 (金)

デスノート

 或る企画の参考に「デスノート」を観た。この映画は観なくてはいけない映画だった。カメラマンが高瀬さんだったからだ。高瀬さんは昨年の9月に映画『西遊記』のカメラテストの最中に亡くなられた。僕は「スイートホーム」と言う黒沢清監督の映画で撮影助手とサード助監督と言う間柄で知り合ったが、その後高瀬さんはカメラマンになられ、僕は監督になった。或る映画を撮る時に高瀬さんにどうしてもお願いしたく、また、高瀬さんも快諾してくれたので、ほぼ行くことになったのだが、同じ会社の系列のもっと大作映画が決まってしまって、結局成就しなかった。その後も何度かお話したり、酒を呑んで歩いたりしたが、去年の6月「ケータイ刑事 銭形雷」の撮影現場に突然高瀬さんから電話がかかってきて、まさにドライ(芝居の段取り)が始まろうとしていた、しかも深夜だったので「すいませんいま」と言うと「あ、撮影中?ゴメンゴメンまた電話するわ」と切られてしまった。思えばこれが最後の会話になって、その最後の仕事がこの「デスノート」だった。

 で、長い前置きになりますが、「デスノート」は良くも悪くも見事に80年代日活撮影所映画だった。セントラルアーツや黒沢満さんの名前こそ入っていなかったが、紛れもない或る時代の「緩いアイドルサスペンス映画」であった。しかし、まさにこれこそが金子修介の真骨頂なのだ。設定自体がかなり緩くて、その緩さと金子監督の資質が微妙にマッチしていると言うか・・・。ただ、これが80億の興行収入を得ている事実を見逃してはいけない。この「緩さ」が恐らく観ている人達が入り易い要素なのではないかと思う。物語の構成は「刑事コロンボ」や「刑事古畑仁三郎」のような「予め犯人と分かった悪役を、知的な探偵がいかに追い詰めていくかを犯人側から描く」ジャンルのサスペンスミステリー。死神のCGなどが新しく色を添えるが、基本構成は変わらない。だが、難しい理屈を重ねて登場人物の背景を描き出すようなことはこの映画には一切ない。例えば松山ケンイチ演じる「L」と名乗る青年は、どう言う素性で国際的な権力を自由に操れる存在なのかはよく分からない。ただもうそう言う人なのです。と、行き成り登場してくるのだ。ここは「女子高校生にして現役刑事(デカ)」と言う「ケータイ刑事シリーズ」の設定と似たような虚構の設定だ。虚構だからこそ、金子監督はぼーんとそのままキャラクターを深く掘り下げることをせず「原作に似ている」と言うキャラだけを「L」に与えた。これが成功した所以ではないかと思う。このポイントはこの映画を商品として評価する上で非常に重要なファクターではないかと思う。

 このシリーズの次回作は大傑作「怪談」の中田秀夫監督が撮ると言う。中田さんは非常に生真面目な人なので、ここまで虚構の世界を緩く受け止めるかどうかはわからない。それだけに楽しみでは或る。

 高瀬さんのご冥福をお祈りして・・・。もうすぐお盆ですもんね。

 

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