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2007年8月26日 (日)

坪島孝追悼 「愛のきずな」

某連ドラのプロットを書いていてちょっと詰まったので、スカパーで録ってあったミステリー「愛のきずな」を観て頭を冷やそうと思ったが、あまりの珍品ぶりに身震いしてしまったので、忘れないうちに書き留めておこうと思う。原作は松本清張の短編ミステリー「たづたづし」。監督は「クレージーキャッツ映画」や「若大将シリーズ」で御馴染みの坪島孝。主演が藤田まことと園まり、で、ミステリーかと思いきや映画は園まりのアイドル歌謡映画としてナベプロが製作している。
 奥さんの親が会社の社長で、本人は至ってうだつがあがらないサラリーマン藤田まことが、不幸そうな女園まりを雨の日に拾う。園まりは佐藤允の暴力亭主に散々苦しめられていて家出をしてしまった人妻なのだ。2人はエロイ関係になるが、女に暴力亭主がいることを知り、藤田は二人の関係が露見するのを怖れて森の中で園まりを絞殺してしまう。が、一度死んだ園まりはいきなり蘇生。全ての記憶を忘れてしまう。藤田は今度はそんな園まりを愛おしくなって、地位も家族も棄てて会社の金を横領し2人で逃げようとする。が、雨の列車の中で佐藤允と偶然出会い、園まりは記憶を取り戻す。藤田と佐藤は列車のデッキで格闘し、佐藤は列車か突き落とされる。瀕死の藤田は必死で園に助けを求めるが、記憶を取り戻した園は藤田まことを突き落としてしまう。そして、再び雨の中で見知らぬ男に拾われて・・・と言うものだが、坪島孝の演出が藤田まことの怯え演技にクレージー映画のような笑いのセンスをそのまま持ち込んでいるのでどうしてもブッラクな笑いの方向へ行く。そして、ラストのデッキのアクションは当時としても現在から観ても下手糞以外の何者でもなく、まるで「シベリア超特急」の列車のように完全に止まっているとしか思えないセットの列車で繰り広げられる。しかし、あまりにも堂々と撮っているので逆に感動すら覚え始める。例えば今村昌平の「赤い殺意」の列車デッキのシーンとは対照的なと言うか・・・。藤田まことが血塗れのまま列車のデッキにしがみついている背景のスクリーンプロセスの合わなさ加減とか、思わず笑ってしまうレベルなのだ。しかし、なんともいえない魅力がある。
 
 真面目に撮ればかなり良質なフィルムノワールになった脚本がキャスティングと演出と企画の方向でかなりおかしなことになってしまった映画だろう。藤田まことと言う人は改めて名優であると言うことも見直した映画だった。

 と、これを書いたのは実は一昨日だったのだが、昨日坪島孝監督が今月の12日にご逝去なされていたことを知った。坪島孝監督の映画について語ることなど今まで殆どなかったが、偶然とは言え因縁めいたものを感じた。プログラムピクチュア好きの監督でも、同じ時代の古澤憲吾監督については語られる機会が多かったのに対して坪島監督はあまり批評に上ることもなかった。ただ、「愛のきずな」のような映画もあったと言う事で、今後いろいろ研究されることが進むといいなと思います。
 しかし、映画の研究なんかもう誰もやってくれないんだろうなあ。

「映画秘宝」は坪島特集を組むべきだと思う。知らない映画が多すぎる。

 改めてご冥福をお祈りいたします。

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