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2008年3月19日 (水)

0093 女王陛下の草刈正雄

 

『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック DVD 『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック

販売元:TCエンタテインメント
発売日:2008/02/06
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遅ればせながら「0093」を観ました。この映画は「スパイ道」と言う短編シリーズがBsiで放送されていて、その劇場版と言う流れの作品なのですが、そのルーツを辿れば2003年の春に初めて篠崎君が声をかけて始まった「刑事まつり」にたどり着くのだと思いますが、この映画は見事にその「刑事まつり」で篠崎君が目指していた緩―いナンセンスコメディの反復であろうかと感じました。いくつか007のパロディ的な面も出てきますが、こう言うパロディ描写よりも、スローモーションを実際に芝居でやって見せたりする漫画的なナンセンスさは、むしろ大和屋竺さんが「毛の生えた拳銃」とかで描いてみせたストップモーション芝居なんかの表現に近いのではないか?

 こういったナンセンス表現と言うのは、恐らく「毛の生えた拳銃」なども低予算ゆえのオプチカル処理をしないでストップ表現をいかに見せるか、と言うことから始まったのではないかと思われるのですが、一方でカット割が簡略化されるので非常に即物的な印象になって、コメディと言うのは人物をいかに即物的な表現で見せるのかと言うことが非常に重要で例えば大袈裟に言えばキートンのいくつかの壮大な表現の裏返しだろうと思うし、最近ではザッカー兄弟などのギャグ表現がそれに近いかもしれない。いや、やっていることは大きく違うのですが、多大な予算を浪費する解放感は低予算映画ではできないが、この映画のスロー表現はそうした快楽に近いものをどうやって得ることができるかを考えさせてくれます。この即物的な表現と言うのは実はコメディと恐怖描写表裏一体となっているもので、例えば黒沢清監督が同じ表現を前後のシチュエーションを変えることでホラーにもなりギャグにもなると言うことを「DOOR3」と「勝手にしやがれ」で実践していて(人形を車に轢かせるカット)、篠崎君がホラーを撮りたいと言うのも凄くよくわかるわけです。

草刈さんを使って「スパイ道」をやってみせる。こう言う企画が結実するのがBsiの凄いところで、思えば「銭形零」のファーストシーズンの最終回撮影の頃に丹羽さんから、「篠崎誠監督を紹介してほしい。彼がやっている「刑事まつり」の方法論をBsiにうまく組み込み、新人発掘育成の場にしたい」と言うことで、数年後、それがこう言う映画の形になって現れるのはとても素晴らしいことでではないかと考えます。

また、篠崎君がBsiの仕事に携わることで、「刑事まつり」に関わっていた多くの新人たちが何らかの形でBsiの仕事を経験できたと言うことも忘れてはならないことでしょう。ある制約の中で自分の表現をどこまでやり切れるか?映画であれ、テレビドラマであれ、制約のない現場と言うのはあり得ないわけで、そこをどうやって折り合いをつけていくのか?制約を否定するのは簡単だけど、制約の中で自由をどこまで獲得していくかは本人次第ですが、そう言う場所があり、そう言う場所を積極的に創っていった丹羽さん、Bsiの仕事は今後ももっと評価されてもいいのではないかと思われます。作品それぞれがうまくいくかどうかは監督個人の責任ですが・・・。

と言うわけで少し横道に逸れましたが、「0093」は僕にとってはちょっと「刑事まつり」の頃を思い出すと少し懐かしくもあり、自分を変えない篠崎君は立派だったと、そのルーツは「大和屋映画」になるのではないかと考え、そうであればできれば次回は虚構を本気で描き切る切なくも厳しい乾いたコメディホラー映画を創って欲しいなと感じました。

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