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2008年3月

2008年3月27日 (木)

ロバート・オルドリッチ「甘い抱擁」

  

昼間、某社で某映画の脚本打ち合わせ。これから3本同時進行で5月から一気に撮影しなくてはいけないので気持ちは焦る。
 帰ってアスレチックス対レッドソックス戦を見る。アスレチックスのハラデーは凄い投手だ。でも、この箱庭球場でMLBの選手がホームランをかっと飛ばしても感慨が薄い。この2チームは帰ったら、またオープン戦をやるんだそうだ。よくわかりませんねえ。
 試合終了後オルドリッチの「甘い抱擁」をDVD鑑賞。凄い映画ですねえ。オルドリッチと言うのは、「ヴェラクスルス」とか「ロンゲストヤード」「特攻大作戦」なんかの印象が強いから「骨太い男の映画」の監督と言うイメージがあるけど、僕にとっては50年代の暗く重たいアメリカ映画を最後まで撮った人ではないかと思われる。この映画は60年代の人気舞台劇だが、年輩の痛い老女を醜悪に描き切り映画自体もきわめて救いようのない内容のものになっている。そう言った意味では「なにがジェーンに起こったか?」や「ふるえて眠れ」のような狂った老女のサスペンス劇に似てなくもないが、ベティ・デイビス映画ほどジャンル性はない。アル中でレズビアンの老女優が、若い恋人との関係をテレビ局の中年女プロデューサーに引き裂かれつつ、さらに老いて人気が無くなっていると言う理由で仕事を奪われ、最後はテレビ局のセットに深夜に忍び込んでセットをめちゃくちゃに破壊すると。簡単に書くとこんな物語だが、とにかく過剰な芝居の応酬と醜悪な人物設定の巧みさが光る。「攻撃」や「ハッスル」と言う映画もなんの救いもない映画だったが、この映画もそうだった。
 オルドリッチは決して爽快なアクション映画の監督ではない。むしろ、暗く重たい救いようのない人間を重厚に描き切る暗黒映画の監督だと断言できる。そして、どこか狂気じみた芝居を演じるベリル・リードやベティ・ディビスと言う老女優たちに偏執じみた愛情を注いでいるのがわかる。そう、オルドリッチは老婆愛に満ちた「女性映画」の監督だったのではないか?
 ちなみにこの映画は、ハリウッドの娯楽映画を撮ることで得た収入でオルドリッチが設立したスタジオの最初の映画であり、メジャーの介入なしに撮ることが出来たオルドリッチが最も撮りたかった個人的な映画の1本である。

ところで、劇中の後半に出てくるスザンナ・ヨークとコーラル・ブラウンによるレズビアンセックスシーンはお互いの欲望が噴出する瞬間の芝居が極めて扇情的で迫力のあるシーンになっている。

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2008年3月26日 (水)

元上板東映支配人 小林紘さん逝く

http://sankei.jp.msn.com/obituary/080323/obt0803232116000-n1.htm

 プロデューサーという肩書ですが、僕らには上板東映支配人と言う方がしっくりきます。
 80年代初頭の自主映画と商業映画をボーダーレスにした中心的人物と言う感じですね。いま、いろいろなインディーズ映画が劇場で公開されるようになりましたが映画館の支配人がプロデューサーに転身と言うのはこの頃では非常に画期的だった。僕は長崎組のパシリをしているような頃に1度お会いしたことがあるような気もしますが、きちんとした面識はありませんでした。石井輝男の「恐怖畸形人間」や「徳川いれずみ師」の再評価も、大井武蔵野ではなく、もともとこの劇場から始まったように思えます。

 後年は上板東映の立ち退き料で悠々自適に暮らしていたようですが、こう言う人がこの時代に頑張ったおかげで、今の僕らがあるんだと改めて思いました。
ちょっとググッたらこう言うサイトでこの時代の詳細がわかります。

 http://www.siff.jp/siff99/dis-meiga02.html

 名画座から新しい映画が生まれてくる。それも本当に撮りたい衝動から生まれてくる。今もう一度考え直さなくちゃいけないこともたくさんある気がします。あの時代は良かった。ではなく、今我々はどういう地点から映画に関わるのか・・・。ですね。

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2008年3月21日 (金)

高間賢治さん嘆く 

http://blog.livedoor.jp/kenjitakama/archives/64783615.html

 カメラマンの高間さんとは仕事をしたことがないけど、低予算映画であっても、映画への技術者の想いはハイバジェットの作品と変わらずに強いことがわかります。が、しかし中々報われないことも多いこともわかる。この場合はテストの上での結果なのでいたしかたないと言えるかもしれないが、予算的に苦しくてもプロデューサー、技術者双方がお互いに予算内でいいものを造れるように努力していくことはこれからも必要だろうと思います。昔と違って、様々な方法論が模索されていく時代で、少しの手間を惜しむことが作品のクオリティに大きく響いてしまうこともあるので、予算内で最大限の模索を続けることは必要であろうと。
 
 ただ一方で、技術者の我儘で予算を超えるようなことは決してあってはならないと思います。お互いが納得できる方法論を時間をかけて話し合って何度もテストしてでも探し出していかなくてはいけない。その手間だけは惜しんではいけないと思うのです。

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2008年3月19日 (水)

0093 女王陛下の草刈正雄

 

『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック DVD 『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック

販売元:TCエンタテインメント
発売日:2008/02/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

遅ればせながら「0093」を観ました。この映画は「スパイ道」と言う短編シリーズがBsiで放送されていて、その劇場版と言う流れの作品なのですが、そのルーツを辿れば2003年の春に初めて篠崎君が声をかけて始まった「刑事まつり」にたどり着くのだと思いますが、この映画は見事にその「刑事まつり」で篠崎君が目指していた緩―いナンセンスコメディの反復であろうかと感じました。いくつか007のパロディ的な面も出てきますが、こう言うパロディ描写よりも、スローモーションを実際に芝居でやって見せたりする漫画的なナンセンスさは、むしろ大和屋竺さんが「毛の生えた拳銃」とかで描いてみせたストップモーション芝居なんかの表現に近いのではないか?

 こういったナンセンス表現と言うのは、恐らく「毛の生えた拳銃」なども低予算ゆえのオプチカル処理をしないでストップ表現をいかに見せるか、と言うことから始まったのではないかと思われるのですが、一方でカット割が簡略化されるので非常に即物的な印象になって、コメディと言うのは人物をいかに即物的な表現で見せるのかと言うことが非常に重要で例えば大袈裟に言えばキートンのいくつかの壮大な表現の裏返しだろうと思うし、最近ではザッカー兄弟などのギャグ表現がそれに近いかもしれない。いや、やっていることは大きく違うのですが、多大な予算を浪費する解放感は低予算映画ではできないが、この映画のスロー表現はそうした快楽に近いものをどうやって得ることができるかを考えさせてくれます。この即物的な表現と言うのは実はコメディと恐怖描写表裏一体となっているもので、例えば黒沢清監督が同じ表現を前後のシチュエーションを変えることでホラーにもなりギャグにもなると言うことを「DOOR3」と「勝手にしやがれ」で実践していて(人形を車に轢かせるカット)、篠崎君がホラーを撮りたいと言うのも凄くよくわかるわけです。

草刈さんを使って「スパイ道」をやってみせる。こう言う企画が結実するのがBsiの凄いところで、思えば「銭形零」のファーストシーズンの最終回撮影の頃に丹羽さんから、「篠崎誠監督を紹介してほしい。彼がやっている「刑事まつり」の方法論をBsiにうまく組み込み、新人発掘育成の場にしたい」と言うことで、数年後、それがこう言う映画の形になって現れるのはとても素晴らしいことでではないかと考えます。

また、篠崎君がBsiの仕事に携わることで、「刑事まつり」に関わっていた多くの新人たちが何らかの形でBsiの仕事を経験できたと言うことも忘れてはならないことでしょう。ある制約の中で自分の表現をどこまでやり切れるか?映画であれ、テレビドラマであれ、制約のない現場と言うのはあり得ないわけで、そこをどうやって折り合いをつけていくのか?制約を否定するのは簡単だけど、制約の中で自由をどこまで獲得していくかは本人次第ですが、そう言う場所があり、そう言う場所を積極的に創っていった丹羽さん、Bsiの仕事は今後ももっと評価されてもいいのではないかと思われます。作品それぞれがうまくいくかどうかは監督個人の責任ですが・・・。

と言うわけで少し横道に逸れましたが、「0093」は僕にとってはちょっと「刑事まつり」の頃を思い出すと少し懐かしくもあり、自分を変えない篠崎君は立派だったと、そのルーツは「大和屋映画」になるのではないかと考え、そうであればできれば次回は虚構を本気で描き切る切なくも厳しい乾いたコメディホラー映画を創って欲しいなと感じました。

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2008年3月17日 (月)

マカロニウエスタン2本立て

十字架の長い列 DVD 十字架の長い列

販売元:エスピーオー
発売日:2003/11/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 マカロニウエスタンのビッグ3に次ぐ4番目の男として、マカロニファンにはお馴染みの名前アンソニー・ステファン。マカロニウエスタンを大きく大別すると、イーストウッドの名無し3部作や「ウエスタン」「夕陽のギャングたち」のようなセルジオ・レオーネによる確りとしたA級予算のマカロニウエスタン。それより、ちょっと格は落ちるけど「土曜洋画劇場」や「月曜ロードショー」の華だったフランコ・ネロ、ジュリアーノ・ジェンマらの70年代前半まではメジャー作品だったマカロニウエスタン「続荒野の用心棒」「荒野の1ドル銀貨」など。さらに、ちょっと格オチするのがこの4番目の男アンソニー・ステファンのB級マカロニだ。さらに格落ちするとテレビ東京でのみ放送されたジョージ・マーチンだのフェンルナンド・サンチョなど、ジェンマやネロのマカロニでは悪役だった連中が堂々と主人公を演じているのがあるけど、この中にもたまあに傑作があるから侮れない。

 と言うわけで、今日は「無宿のプロガンマン」と「十字架の長い列」と言う2本をスカパーで「ザシネマ」チャンネルで観た。2本ともにSPOからDVD発売されていて、デジベに落としたニュープリント版があるせいなのか、この放送も奇麗なプリントでの放送だった。
 僕が外国映画を観るようになったきっかけは、幼少時に観たハマーフィルムの怪奇映画であり、小学生の頃に夢中でテレビで観たマカロニウエスタンだった。初めておこずかいを貯めて買ったLPレコードは2枚組のマカロニウエスタン音楽集だった。そのLPの中に入っていて中々観ることができず、一度だけ深夜に観たことがあったのが「無宿のプロガンマン」だった。ドン・パウエルと言う黒人歌手によるカッコイイテーマ曲(当時のLPのライナーノーツによる)が中学生の脳内を痺れさせた。で、久々に観ましたが、ストーリーは語るべきものは特にないですね。マカロニウエスタンは物語を楽しむものじゃなくって、哀愁のテーマ曲に酔いながら、あり得ないガンアクションを楽しむ映画ですから・・・。それにしても、第4の男アンソニー・ステファンは、遠目にはイーストウッドにも見えるし、近くによるとフランコ・ネロにも見えなくはないけど、トータルではもっさりとした印象のオジサンですね。

 「十字架の長い列」は、同じようなキャラの賞金稼ぎステファンに、
ウイリアム・バーガーの牧師で殺し屋と言ういかにもなキャラが絡む映画です。このウイリアム・バーガーのキャラクター、日本で演じたら絶対故岸田森が演じたらはまり役になるんじゃないかって、つまりクールなんだけど濃い、あり得ない個性の立ったキャラと言うことですね。このウイリアム・バーガーがなんか、蓮根みたいな7発同時に弾が出る多銃身のライフルを持っていて、これがなんか見た目凄そうなんですが、実際にはどういう効力があるかよくわからない。1回の発射で数名倒すわけでもないし、1回の発射で扉をぶち破ったりするわけでもない。ただ7発の弾が同時に発射されて、「1人の」敵を倒すだけなんですね。で、これを何回も発射して7,8人くらいを殺すんですが、つまり8人殺す間に56発は使っているわけでなんとも効率の悪いライフルだなあと。
 エンディングは、もう「夕陽のガンマン」の決闘シーンをカメラアングル、カット割りごとぱくって盛り上げるのが素晴らしい。でも、時々引き金なめのカットだとか、結構ギミックでスタイリッシュな構図で撮影されていて、やはりこれもイタリア映画なんだなあと。最近、ダリオ・アルジェントをちょっと見直してまして、マカロニウエスタンに通じる泥臭いスタイリッシュさを感じました。ベルトッリの映画なんかも通じるところはあると思いますよ。

 マカロニウエスタンは、ストーリーを効率よく昇華させて楽しむアメリカ映画とは違う魅力持った、ヨーロッパに生まれた娯楽映画の一つの典型ではないかと思われます。
 監督のセルジオ・ガローネは「女囚ファイル 美女集団監禁~ゲシュタポSM収容所」(日本公開題名「ナチ女収容所 続・悪魔の生体実験」)なんて言う映画も撮ってますね。

  

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2008年3月13日 (木)

根岸明美さん 訃報

http://www.asahi.com/obituaries/update/0312/TKY200803120397.html?ref=rss

 女優の根岸明美さんが亡くなられました。報道では黒沢明映画の女優として語られていますが、僕が子供の頃はテレビの刑事ドラマや時代劇でも活躍し、いわゆるヴァンプ女優として悪女役をやらせると天下一品の演技と存在感だったと思います。どこか、子供には暑苦しい色気がちょっと怖かった。僕の中での根岸明美さんと言うのは、ネグリジェ着て頭にネットを被って海苔巻きのようなカーラを着けて昼間っからウイスキーを呑んでいる大人の女って言うイメージがなぜか残りますね。「ウルトラマンタロウ」とかにも出ていたようですが、これは記憶にないですね。

 最近見直した映画では、増村の大映最後の作品「遊び」で、アル中で屋台のおでん屋を引く大門正明の母親役が印象的でした。蛸のおでんを手に息子に色気を振りまきながら絡む不快感満点の演技は最高だったと思います。若いころは成瀬巳喜男の「驟雨」で原節子、佐野周二夫妻の隣に住む色気ある女性も印象的でした。

 彼女のようなバイプレーヤーが活躍するようなドラマや映画は少なくなりましたね。演技が過剰でも、決して自己満足の演技ではなく、物語の波の中に確りと納まって観客に不安感を与える独特の芝居。昭和の女優がまた一人お亡くなりになったことはとても寂しいですが、我々はこう言う記事を目の当たりにした時にセンチメンタルな懐古主義に陥るのではなく、我々の時代のリアルを創りあげていかなければならないのだなあと思います。

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2008年3月11日 (火)

横浜スタジアム 開き

横浜スタジアムで今年最初の試合を観戦。やはり青空の下での野球観戦は最高の御馳走ですね。しかも気候も宜しく野球観戦日和。
 試合の方はオープン戦なので、真剣勝負と言うよりは個々の選手がどれくらい調整が進んでいるかを楽しむものになります。今日は、キャンプでも一番首脳陣から期待されているのがわかった高崎健太郎が先発。相手は楽天のエースになるはずだった一場。高崎は、真っすぐがキャンプ中よりキレキレで一か月前よりも相当に調整してきている。こう言う選手の成長を、キャンプ→オープン戦→シーズンと追って見ていくのは本当に醍醐味があります。やはりそれぞれの選手に思い込みが出来てしまいます。今年の高崎は頑張ってほしいなあ。
 それと、クルーンなきあとの抑え候補ヒューズが良かった。キャンプ中の韓国のチームとの練習試合で見た時から期待を抱かせる内容だったけど、今日はストレートの球速も148キロまで伸びて制球も悪くない。セットポジションで投球動作を止めないのでボークを一つ取られていたが、それほどの混乱はなかったようなので外国人選手としては日本野球に対応できそうだった。このヒューズ選手。遠目が大魔神佐々木によく似ているんですよね。佐々木を一回り大きくしたような感じです。投球モーションがダイナミックで威圧感あるので、抑えとしてはかなりの数字を残すのではないでしょうか?あとは、セットの時のボーク対策と、今日も一つ走られてしまいましたが、やはりセットポジションの時にクイックがどこまで出来るかでしょう。まあ、僕は抑えなんてのは1塁に走者が一人出て走られても三振とポップフライに打ち取れるくらいの球威がなくちゃいけないと思いますから、セットポジションでも堂々とワインドアップで投げてもいいんじゃないかと思いますので、それくらいに相手を見下ろしてあまり神経質にならなければ問題ないと思われます。

 と言うわけで、野村監督をして「草野球や」と言われてしまった今日の試合内容でしたが(理由は両軍ともに二桁安打打ちながらそれぞれ、3得点、4得点と言う拙攻の末に拙い守備で楽天が負けたため)ファンとしては、成長が見られた若手投手1人と新外国人投手の抑えがいい球を見せてくれたので満足の試合でした。

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行動の春

 昨日は打ち合わせで赤坂のBsiへ。TBSの新しいビルが出来ていて驚く。しかし、かつて旧社屋があった頃の赤坂とは地形が変わりましたね。六本木もそうだけど、坂や丘を完全に切り崩して新しいエリアが誕生している。僕は、東京の古い町並みを観て歩いたりするのも好きだけどこうやって都市が変貌していく様を観るのも楽しい。Bsには若手のドキュメンタリー作家なんかも出入りしていたから誰かここ4,5年のこの変貌をカメラに収めてたりはしないんだろうか・・・「彼女について私が知っている2,3の事柄」みたいに・・・。
 打ち合わせは実にスムーズ。僕は初めてやらせていただくシナリオライターの方ですが、脚本のクオリティが高いのですごく楽しみです。
 しかし、今打ち合わせしている物件が相次いでクランクインすることになりそうなので、また撮影夕方終わって赤坂移動して打ち合わせだとか、仕上げだとか重なる予感がしています。いまのうちにやるべきことはきちんとやっておこう。観るべき映画もきちんと観ておこう。

 今日からは横浜スタジアムの野球観戦も始まり、行動の春がやってきました

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2008年3月 9日 (日)

広川太一郎訃報に思う

 中学生の頃に「ダンディ2」と言う、ロジャー・ムーアとトニー・カーチス主演の探偵ドラマがありまして、この時にロジャー・ムーアではなく、トニー・カーチスの吹き替えをやっていたのが広川さん。すでに、口に合っていないアドリブと言う吹き替えはこの時に初めて知りました。「空飛ぶモンティパイソン」のエリック・アイドルより、こっちの方が僕には懐かしいかもしれない。
 加藤賢宗が声の仕事で実際にあったら、非常にまじめで神経質な人でとてもじゃないが「とかなんかいっちゃりして~」とか言ってくれそうにない雰囲気だったとか。

 いや、そのうちまとめて書きたいけど、僕ら洋画劇場世代にとっては吹き替えの存在と言うのは非常に大きかった。クリント・イーストウッド、ピーター・フォンダの山田康男、チャールトン・ヘストンの納谷吾朗、チャールズ・ブロンソンの大塚周夫、ヘンリー・フォンダの小山田宗徳等。小山田宗徳版の「荒野の決闘」は、ジョン・フォードの演出と小山田さんの吹き替えが絶妙で、実際の本編とはまた別の傑作が吹き替え版にはあったと確信します。だから、吹き替えの人がたまたま変わったりするとかなり違和感があって観ていられなかった。実は「真昼の死闘」は山田康男版がなかったのだが、これなんか随分不満だった。それと「ジョーズ」の最初の放映時の、ロバート・ショーの北村和夫、ロイ・シャイダーの滝田祐介と言う新劇名優たちの吹き替えが素晴らしかったんだけど、数年後キャスト変更されたバージョンには不満が残りました。
 
 僕は、デビッド・ニーブンの声や「奥さまは魔女」のナレーションの中村正さん、それにクリストファー・リーや「サスペリア」のCMの千葉耕市さんと仕事をしたことがあるけど、みんな、若い声優ファンは声優を目指すけど、そうじゃなくてまず新劇のお芝居を勉強してほしい。声優の学校に通うとみんな同じ声で個性がなくなってしまうと嘆いておりました。
 ちなみに、黒沢清監督はクリストファー・リーは千葉さんじゃなくて、家弓家正と言う宮崎駿の初期のアニメで結構活躍していた声優の吹き替えの方が絶品。と言うことで、自分が撮った資生堂のVPのナレーションに家弓さんを起用して、「クリストファー・リー風でお願いします。と言ったらやってくれたんだよ佐々木!」と、自慢してくれたのを想い出します。 そういえばアルトマンの「ロンググッドバイ」も吹き替えが絶妙で、これの冒頭のセリフを黒沢さんが良く真似してくれて、とても上手だったのを想い出しました。アルトマンのたゆっとした演出と森川公也さんが、誰に言うとでもなく呟くような独り言の台詞が実にマッチしていました。

 ちょっと余談になってしまいましたが、広川さんも含めて、映画と共に日本のこの吹き替え文化と言うものは語り継がれていって欲しいものだと思います。

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2008年3月 8日 (土)

外房を半分かくす懸大根

080308_133301 本日は、地区の幸文化センターのお祭りへ行ってきました。妻の父が俳句の会に入っていて、その一句が展示されているからであります。

世田谷にいた時は、こう言う地区のお祭りみたいなものは神社の祭礼以外になかったわけですが、川崎市幸区は年に何回か地区だけのお祭りで地域住民たちが触れ合えるように様々な催しを開いてますね。僕は、なるべくこうしたイベントには積極的に参加していますが、地域密着と言うのは中々楽しいです。四季折々のイベントがあって、秋は川崎フロンターレの選手までこの幸文化センターにやってきて子供相手にサッカー教室開いていたりしますからね。そのうち幸映画祭とかやってくれないかな?川崎市を舞台にした映画を中心にして。

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2008年3月 7日 (金)

キイハンター いま虚構はどこまで成立するのか?

東映チャンネルが9日まで観られるので、「キイハンター」を数十年ぶりに見る。68年から5年間TBSの土曜9時に放送されていた番組で、007や0011ナポレオンソロのブームの中で創られた「テレビ映画」だ。

1本は「真珠湾から来た女」と言うタイトルで、真珠湾攻撃の時に宣戦布告せずに開戦してしまったのは実は、世界的な組織が動いたせいだった。と言うとんでもない物語で、同じ組織が今度はベトナム戦争を終結させようと画策するアメリカの特使を殺して、新たな国際紛争を起こそうというもの。これを、伊豆あたりのロケで小さな船の中での密室劇として展開させる。まあ、チープなんですが、犯罪組織の男西沢利明だとか、真珠湾攻撃を宣戦布告する任務を遂行しようとした外交官、宇佐美淳也らの芝居が大真面目で説得力がある。脚本はこのシリーズのメインライター高久進と監督の佐藤肇。監督は佐藤肇。高橋洋さんが描きそうなフィクションを普通に真面目に(?)やっていたんだなあと感心。

もう1本は「ミイラと棲む女の館」と言う、これも凄い物語。野際陽子が謎の手紙に誘われてある屋敷に招待されると、そこは中東の世界的な武器商人の男の屋敷だった。この中東人がトルコ帽被った内田朝雄さんであります。この内田朝雄は、世界中の女に子供を産ませていた。その一人がシカゴのシンジケートのボス南原宏治。その弟がどこか政情不安定な西アジアの国(カンボジアとかミャンマー風)のエリート軍人藤木孝、もう一人は世界を股に掛けるフランス人の娘でプレイガール榊ひろみと、全員外国人の役を日本人が大真面目に演じています。「ワタシーターチハ」みたいな、偽外国人の真似もせずに堂々と日本語で喋りながらシカゴのシンジケートのボスやら、革命軍の軍人を演じていて、誰一人手も抜かず、ふざけもしない。物語は、遺産相続を目的にこの世界の中に巣くう癌のような金持ちの道楽息子たちを、末娘の松岡きっこが、内田朝雄最後の妻に頼んで皆殺しにしてまおうと言うもの。オチは、実は松岡きっこは1年前に死んで地下室でミイラになっていて、この婦人の妄想で殺戮を行っていた。と言うもの。サブタイトルで思いっきりネタ晴らししているのが凄いですよね。でも決してコメディタッチではありません。あくまで大真面目なサスペンスタッチで描いています。

ちょっとだけ「サイコ」風味も入っていますが、このきわめてフィクショナルな物語を書いたのは、かつての「金八先生」のメインライターで、利重剛のお母さんの小山内美江子さん。まだ、お若い頃の仕事だったと思われますが素晴らしい脚本だったと思います。

こういった極めてフィクショナルな話を確りとした構成で、お芝居を糞真面目に演じてるのが素晴らしい。こう言うフィクションにさらにフィクションを重ねていくような物語はもう成立しないのでしょうか?リアリズムを超えて、真面目にフィクションに挑戦していくには何か大きな工夫が必要なのでしょうが、この時代のドラマや映画にちょっとした嫉妬を覚えます。

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2008年3月 6日 (木)

春近いかな

 午後から某所で某企画の打ち合わせ。まだ始まったばかりだけど、そんなに遠くない未来にクランクインさせないといけないので、気持は少し焦る。夕方からは横浜に移動してシナハン兼ねて食事。中華街の近くまで行ったのに、中華は食べずに沖縄料理を食べる。お目当ての店が休みだったからなんだけど、関内にはやたらに沖縄料理の店が乱立しているのはなぜなんだろう?川崎にも老舗の沖縄料理屋が多くって、これは、本土復帰前に単独復帰して来た人たちが川崎に住み着くことが多かったと言うことらしいんだけど、横浜もそうなのかな?美味しいが沖縄に比べるとちょっと高いね。沖縄で食べるともっとボリュームがあって安い。沖縄で沖縄料理屋に入ると、ボリュームが多すぎて2人で3,4品でおなかいっぱいになってしまうからね。こっちの方が種類が食べられるからいいか・・・。とりあえず昨日はアグー豚最高でした。

 途中、セルテのベイスターズショップで月刊ベイスターズのバックナンバーを買う。

 帰ったらM君から懸案のプロットがメールで届いたので読む。これはなかなか凄い。緩さゼロのまったく新しい映画なりそうな予感。「発狂する唇」から10年。ドクトル高橋のチルドレンたちが新しい可能性を持って胎動し始めている。まだ粗いので手直しが必要だが、半年粘ってようやく入口が見え始めた。最近去年捲いた種が芽吹き始めているので嬉しいです。まだまだ頑張らないとね!

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