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2008年3月 7日 (金)

キイハンター いま虚構はどこまで成立するのか?

東映チャンネルが9日まで観られるので、「キイハンター」を数十年ぶりに見る。68年から5年間TBSの土曜9時に放送されていた番組で、007や0011ナポレオンソロのブームの中で創られた「テレビ映画」だ。

1本は「真珠湾から来た女」と言うタイトルで、真珠湾攻撃の時に宣戦布告せずに開戦してしまったのは実は、世界的な組織が動いたせいだった。と言うとんでもない物語で、同じ組織が今度はベトナム戦争を終結させようと画策するアメリカの特使を殺して、新たな国際紛争を起こそうというもの。これを、伊豆あたりのロケで小さな船の中での密室劇として展開させる。まあ、チープなんですが、犯罪組織の男西沢利明だとか、真珠湾攻撃を宣戦布告する任務を遂行しようとした外交官、宇佐美淳也らの芝居が大真面目で説得力がある。脚本はこのシリーズのメインライター高久進と監督の佐藤肇。監督は佐藤肇。高橋洋さんが描きそうなフィクションを普通に真面目に(?)やっていたんだなあと感心。

もう1本は「ミイラと棲む女の館」と言う、これも凄い物語。野際陽子が謎の手紙に誘われてある屋敷に招待されると、そこは中東の世界的な武器商人の男の屋敷だった。この中東人がトルコ帽被った内田朝雄さんであります。この内田朝雄は、世界中の女に子供を産ませていた。その一人がシカゴのシンジケートのボス南原宏治。その弟がどこか政情不安定な西アジアの国(カンボジアとかミャンマー風)のエリート軍人藤木孝、もう一人は世界を股に掛けるフランス人の娘でプレイガール榊ひろみと、全員外国人の役を日本人が大真面目に演じています。「ワタシーターチハ」みたいな、偽外国人の真似もせずに堂々と日本語で喋りながらシカゴのシンジケートのボスやら、革命軍の軍人を演じていて、誰一人手も抜かず、ふざけもしない。物語は、遺産相続を目的にこの世界の中に巣くう癌のような金持ちの道楽息子たちを、末娘の松岡きっこが、内田朝雄最後の妻に頼んで皆殺しにしてまおうと言うもの。オチは、実は松岡きっこは1年前に死んで地下室でミイラになっていて、この婦人の妄想で殺戮を行っていた。と言うもの。サブタイトルで思いっきりネタ晴らししているのが凄いですよね。でも決してコメディタッチではありません。あくまで大真面目なサスペンスタッチで描いています。

ちょっとだけ「サイコ」風味も入っていますが、このきわめてフィクショナルな物語を書いたのは、かつての「金八先生」のメインライターで、利重剛のお母さんの小山内美江子さん。まだ、お若い頃の仕事だったと思われますが素晴らしい脚本だったと思います。

こういった極めてフィクショナルな話を確りとした構成で、お芝居を糞真面目に演じてるのが素晴らしい。こう言うフィクションにさらにフィクションを重ねていくような物語はもう成立しないのでしょうか?リアリズムを超えて、真面目にフィクションに挑戦していくには何か大きな工夫が必要なのでしょうが、この時代のドラマや映画にちょっとした嫉妬を覚えます。

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コメント

はじめまして^^ご縁がありこちらにたどりつき
ました。

「キイハンター」懐かしいですね。
フィクションに徹する作風にちょっぴり風刺を
効かせたり、リアリズムのエッセンスを振りまい
たりすることもありましたね。

作りたいように作る。

こんなスタッフの声が聞こえてきそうなテレビ
映画でした。6月にはDVD-BOXも発売になる
とか。今年は生誕40周年なんですね。
自分も年を取ったものです^^;

投稿: kajita巡査 | 2008年3月 8日 (土) 02時44分

「全員集合!」~「キイハンター」が土曜の当時の小学生の定番メニューでした。最初のシーズンはモノクロで、割とハードな内容だったようです。カラーになってから、小学生も見ることを意識したものも増えていたようです。今見返すと、70年前後の、サイケな当時の文化そのまんまの内容が結構楽しいです。でも、戦争をバックボーンにした物語とか、スタッフは結構本気だったんじゃないかと思います。

投稿: sasaki | 2008年3月 9日 (日) 10時46分

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