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2008年3月27日 (木)

ロバート・オルドリッチ「甘い抱擁」

  

昼間、某社で某映画の脚本打ち合わせ。これから3本同時進行で5月から一気に撮影しなくてはいけないので気持ちは焦る。
 帰ってアスレチックス対レッドソックス戦を見る。アスレチックスのハラデーは凄い投手だ。でも、この箱庭球場でMLBの選手がホームランをかっと飛ばしても感慨が薄い。この2チームは帰ったら、またオープン戦をやるんだそうだ。よくわかりませんねえ。
 試合終了後オルドリッチの「甘い抱擁」をDVD鑑賞。凄い映画ですねえ。オルドリッチと言うのは、「ヴェラクスルス」とか「ロンゲストヤード」「特攻大作戦」なんかの印象が強いから「骨太い男の映画」の監督と言うイメージがあるけど、僕にとっては50年代の暗く重たいアメリカ映画を最後まで撮った人ではないかと思われる。この映画は60年代の人気舞台劇だが、年輩の痛い老女を醜悪に描き切り映画自体もきわめて救いようのない内容のものになっている。そう言った意味では「なにがジェーンに起こったか?」や「ふるえて眠れ」のような狂った老女のサスペンス劇に似てなくもないが、ベティ・デイビス映画ほどジャンル性はない。アル中でレズビアンの老女優が、若い恋人との関係をテレビ局の中年女プロデューサーに引き裂かれつつ、さらに老いて人気が無くなっていると言う理由で仕事を奪われ、最後はテレビ局のセットに深夜に忍び込んでセットをめちゃくちゃに破壊すると。簡単に書くとこんな物語だが、とにかく過剰な芝居の応酬と醜悪な人物設定の巧みさが光る。「攻撃」や「ハッスル」と言う映画もなんの救いもない映画だったが、この映画もそうだった。
 オルドリッチは決して爽快なアクション映画の監督ではない。むしろ、暗く重たい救いようのない人間を重厚に描き切る暗黒映画の監督だと断言できる。そして、どこか狂気じみた芝居を演じるベリル・リードやベティ・ディビスと言う老女優たちに偏執じみた愛情を注いでいるのがわかる。そう、オルドリッチは老婆愛に満ちた「女性映画」の監督だったのではないか?
 ちなみにこの映画は、ハリウッドの娯楽映画を撮ることで得た収入でオルドリッチが設立したスタジオの最初の映画であり、メジャーの介入なしに撮ることが出来たオルドリッチが最も撮りたかった個人的な映画の1本である。

ところで、劇中の後半に出てくるスザンナ・ヨークとコーラル・ブラウンによるレズビアンセックスシーンはお互いの欲望が噴出する瞬間の芝居が極めて扇情的で迫力のあるシーンになっている。

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