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2008年5月13日 (火)

大脱獄 ネタバレあり

 今日は撮休なので「大脱獄」残りをHDD鑑賞。70年に撮られたジョセフ・F・マンキーウイッツの映画は「暴力脱獄」であるとか「アルカトラズからの脱出」と言った脱獄ヒーロージャンル映画風に見えるが、実際はもっと人間の欲望が噴出する「黄金」のような物語をあくまで軽妙に描いた西部劇である。冒頭に出てくるリー・グラント(脱ぎあり)以外は、カーク・ダグラス、ウオーレン・オーツ、ヒューム・クローニン、バージェス・メレディス、と言った囚人軍団さらに規律を重んじる署長のヘンリー・フォンダと男臭いオッサンだけの物語なのだが、それでいて男の友情とかが絡むわけではなく、ひたすら己の欲望にのみ忠実と言う脚本が素晴らしい。ひと癖もふた癖もある囚人たちVS官僚的な看守の対立。やがては囚人たちが自由を獲得。と言う単純な「自由な国アメリカ」のある側面を描き出すための囚人映画ではなく、ひたすらに活劇に終始する物語。脚本はロバート・ベントン(夕陽の群盗)とデビッド・ニューマンで当時のパンフなんかを読んでも「俺たちに明日はない」のコンビが再び挑んだニューシネマの傑作みたいな売られ方をしているが、「俺たちに明日はない」の何十倍も面白いのは、ジョセフ・F・マンキーウイッツとアーサー・ペンの演出力の差と言うだけではなく、物語の力強さと言う点で「大脱獄」の方が優れているかもしれない。

 とにかく、2時間20分次から次へと悪い奴らが騙し合って主役のカーク・ダグラスは自分を慕っていたウオーレン・オーツらを裏切って全員殺し、さあ金塊一人占め。と、思った矢先にガラガラヘビに噛まれて死んでしまい、結局お宝は品行方正の塊のヘンリー・フォンダが一人占め。刑務所の所長職を放り出してメキシコへ逃げて「彼はその後幸せに暮らしましたとさ」とテロップが出て終わり。

 もともとロバート・ベントンたちは当時流行りのニューシネマ風のアンチヒーロー自滅劇を思って脚本を創ったのかもしれないが、ジョセフ・F・マンキーウイッツの演出が相当に確りとした活劇映画に造り上げてしまったと言うことなのだろうか?

 リチャード・フライシャーとかマンキウイーッツのような50年代に活躍していたメジャーの大監督がこういった若い人の脚本でニューシネマ風の傑作映画を撮っていたり、70年代初頭のアメリカ映画と言うのは若手、中堅、大ベテランの監督たちが次々に傑作を連発し、映画史的にも稀有な傑作が入り乱れたかなり注目すべき時代だったのではないかと考える。
 
 批評家の方々には、70年代アメリカ映画について確りとした批評研究本の類をそろそろ出してほしいと願います。まあ売れないと思いますが・・・。

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