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2008年5月19日 (月)

東京少女編集とTBSチャンネル「煙の王様」

 今日は緑山の大塚編集室からWEBで編集上がりが送られて来たので早速自宅PCで編集作業。以前も書きましたが、緑山の編集室で繋ぎ終わった数分後に自分の部屋で編集ラッシュを観られると言うのはなかなか楽でいいです。このシステムは「銭形雷のセカンドシーズン2話」から始まったけど、30分番組の尺だから出来る技でもあるでしょう。もし、本編の最初のラッシュの容量が送られてきたらさすがにメモリ不足になってしまうかもしれないし、そう言った時にはVISTAかマック機を導入しなくてはいけなくなるかな。

 と言うわけで朝から夕方まで、直しの個所を洗い出していく。今回はなんとプラマイゼロの完尺で送られて来ているので、あまり大胆な変更はできない。それでも直しは16対9の大型画面を想定した間尺で、カット尻、特に主役の女の子の感情を表現するために多く用いた、シーン終わりの主役のクローズアップカットの終りを数コマづつ伸ばしてもらうことに。切るところは逆に、バッサリ1か所だけ落とす場所を決める。今回見事に少女のアップしかアップがない。カット進行をリズミカルにするためのカットバックもほとんどない。脚本構成が確りしているから少女の内面に絞ったカット構成で正解だった。

 夕方からはTBSチャンネルで1962年製作の日曜劇場「煙の王様」を鑑賞。テレビドラマ史上でも名作と呼ばれ、芸術祭で文部大臣賞を受賞したドラマだ。内容は、高度経済成長時、煤煙の町だった川崎の埋立地にある工場近辺に生きる最下層労働者たちの悲哀を、元気な少年の視点で描ききった傑作だ。テレビドラマながら当時の本当に汚い町にオールロケーションが敢行され、イタリアのネオリアリズム時代の映画のような雰囲気を醸し出しつつも、少年たちの常に前向きで元気な姿が素晴らしい。特に、主役の市川好朗とヒロインの少女が土管の上に座って、煤煙たなびく煙突のさらに上に広がる青空を、煽りの画面から、会話と共にゆっくり僅かにクレーンダウンして捉えると、煙突が少年たちと重なることで観客の視点から消え、て、少年と少女の前には工場がなくなり空だけになって、まるで空に浮かんでいるような構図なっていく演出には感動させられた。脇役に戸浦六宏や小松方正など大島渚の創造者のメンバーも出演しているから、60年代のかなりトンガッタ映画を意識していたのだろうとも憶測される。ただ、ドラマの方はあくまで少年のふてぶてしくも明るい視点で描かれるので、観ている間中心が躍る気分にさせてくれる。昭和30年代を描いていると言う点では、ハリボテセンチな「三丁目の夕日」よりも、もっとしっかりと昭和の戦後、高度経済成長期の日本の庶民を知ることが出来るであろう。「三丁目の夕日」に足りないのはこうしたバイタリティと言うか時代に対するポジティブなパワーだ。

 監督は円谷一。円谷英二の息子で、当時はTBSの社員ディレクターだった。後に円谷プロ立て直しの為にディレクター職を辞め、円谷プロのプロデューサー、社長になるわけだが、この1本で日本のテレビドラマ史上に名を残すディレクターになったのは間違いない。

 CSのTBSチャンネルでこのドラマが放送されたことはかなり評価すべきことで、若いTBSのドラマに関わる人たちには是非先人のこの素晴らしい仕事を観直してほしいものだと思います。

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