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2008年6月12日 (木)

すいばれ一家 男になりたい!と女番長ゲリラ

 柳下さんの呼びかけで「すいばれ一家 男になりたい!」のプリントが東映にも現存していないので有志で金を出し合ってプリント1本焼きましょう。と言うことになり、僕もたった1口ではありましたが乗らせていただきました。昨日はそのプリントでの上映2日目になるのかな?シネマヴェーラ渋谷で「すいばれ一家 男になりたい!」と「女番長ゲリラ」を鑑賞。

 「すいばれ一家 男になりたい!」は山城新伍の初主演らしいけど、この頃渡辺祐介監督のギャンブルものだとか、かなりハチャメチャなヤマシロ艶笑喜劇がいくつかあってこれもそう言う中で企画された一本なのだろう。山城さんご本人がこの頃の東映のスタッフの常軌を逸した過熱ぶりを楽しそうに語っていた。「あのな、ホンにピンクのカラスが出てくるって書いてあるんだよ。どうすんのかなって思っていたら、バケツ一杯のペンキを持って来て生きているカラスにぶっかけやがるの」とか・・・。

 映画の方は案外まともな東映京都の任侠映画のフォーマットに沿った映画だった。鈴木則文映画が他の東映低予算映画監督と違って素晴らしいのは、ハチャメチャな部分は露悪的なまでにハチャメチャなのだが、確りと情感を出すシーンの創り方が巧くって、演出だけで魅せてくれる魅力を再確認。小池朝雄の「けえええええ」と言う叫びに感動。僕の大好きな山城さんの「ハヒー」は都合5回ほど確認しました。しかし、プリント焼くのに金を出したから言うわけではないが東映ラボの焼きはもう少しなんとかならなかったのか・・・。最近はフリーのカメラマンも東映ラボで仕事をするようになって、コダックの現像も行うようになり、カメラマンによる細かなタイミング作業(色調整)が行われるようになったのであまり気にはならなくなったが、かつては東映ラボ=フジカラーフィルムの映画は全体の色調がブルーに強く転んでしまう傾向があって、それはそれで東映映画らしい色調ではあったんだけど、今回は当時のプリントより青が強く感じられた。昔、8ミリで映画を撮った記憶がある人ならフジカラーはブルーにコダックは赤や黄色に極端に出てしまう傾向があるのを覚えているだろうが、東映ラボで現像するフジカラーはその特徴が強く出てしまう。東映ラボの職人さんが、そっちの方が綺麗な色だと思っているからしょうがない。と、カメラマンの誰かに聞いた記憶があるが、この傾向は改善することはないのだろうか・・・。そう言えば明日から「トリコンリターンズ」は東映ラボにある編集室で作業が始まるから言ったら誰かに聞いてみよう。

 「女番長ゲリラ」はかつて札幌で女番長3本立てを観て以来の30年ぶりの再見。あがた木魚の「赤色エレジー」が主題歌であがた木魚も本人役で出演していた。これも、ハチャメチャな展開と映画的な情感が巧く調合された快作だった。しかし、池玲子を除いて杉本美樹も含めたスケバン女優たちの台詞の酷さを観て、こう言う映画には芝居なんかどうでもいいんだなと思って観ていたのを思い出す。これは決してネガティブな感想ではない。おっぱい振り乱してアクション演じる迫力があれば、棒読みの啖呵と音程外れっぱなしの主題歌でも許された時代があったんだなあと思った。

 数年前に高橋洋さんと「不良番長」のリメイクを東映で、当時のメンバーそのままで復活させようと1か月だけ企画に動いたことがあった。そこで高橋さんと当時の「不良番長」も含めて何本も70年代前半の東映東京製作のアクション映画を再見したが、そのあまりの投げやりな創りに絶望的な気持ちになったことがあった。ある日高橋さんが「同時期に映画界で全く評価されていない松林宗恵の「社長シリーズ」を観たが、東宝の潤沢なエンタティメントのクオリティの高さと比して、娯楽映画としてあまりに東映東京の低予算だからと投げやりに創っている酷さはなんなんでしょう?」と疑問を投げかけ、この内容は現代に決して通用するものではない。自ら企画を投げ出したことがあった。

 鈴木則文監督の再評価が始まったわけですが、当時の東映映画の中でもなぜ鈴木監督の映画が評価され他のプログラムピクチュアは色褪せてしまったのか?僕は鈴木監督の評価を決してサブカルチュアの中に留めることなく映画史に残る娯楽映画、当時の東映の投げやりな映画とは一線を画す映画であることを確り認識しておく必要があるのではないかと思うのですが、これは批評専門の方たちに是非とも論理的な検証をしてほしいところだと思います。

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