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忍法創世記

 今日は午後から某企画の打ち合わせで赤坂へ。この季節の都心は灼熱地獄。多摩川渡っただけで随分と気温が違う気がする。

 電車の中で山田風太郎の「忍法創世記」を読み終わる。これで現在出版されている風太郎忍法帖の長編は全て読んだことになる。短編は様々なアンソロジーの中に収録されているのでおよそ完全把握は難しい。

 ところでこの「忍法創世記」は山田風太郎最後の忍法帖でありながら、長い間出版化されていなかった、まあ風太郎先生自身が気に入らなかったと言うことなのだが中々楽しい一編だった。舞台を中世の南北朝対立の真っただ中に置いて、柳生VS伊賀の戦いからやがてはそれが柳生新陰流開祖の礎になっていくだの、伊賀忍法の始まりになるだろうとの壮大なスケールの嘘話に歴史上の人物が妖怪のようなキャラクターとして登場してくる設定の、明治ものに連なる虚実ないまぜ史実は大いに楽しめる。お馴染みの柳生十兵衛や服部半蔵が活躍する100年くらい前の話だが、それでも柳生七兵衛と言う「片目を糸のように閉じられた」と言う十兵衛そっくりの人物が先祖として登場したり、武蔵の元祖のような人物さえ登場する。風太郎先生は余ほどに柳生十兵衛と宮本武蔵がお気に入りだったと思える。さらにそこに、柳生を支える大塔八人衆と伊賀を支える菊水党八人衆と言った怪異な忍法を駆使する忍者たちが、いつものトーナメント戦を繰り広げる。

 が、作者自らが「駄作」として単行本化されなかった理由もわかる構成で、室町時代~南北朝の複雑なバックボーンの説明が長く、なんせ最初のバトルが始まるまで100ページを要している。新しい登場人物が出てくるたびにこれらの説明が長いので、肝心の柳生対伊賀の対決に割くページが短くトーナメント戦もいきなり3人殺されてしっまたり活劇としてのクオリティはそう高くない。それでも、晩年書いた室町ものに繋がる重要な一遍だと思うし、なにせ「忍法帖」としては最後の長編でもあるので、資料的価値は高い小説だった。

 これを読んでまた忍法帖~明治ものと風太郎小説を再読したくなってきた。僕自身のオリジナリティに非常に影響を与えた小説家であることは変わりなく、生涯に渡って愛すべき、目指すべきストーリーテラーこそ山田風太郎なのだ。

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