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2008年11月30日 (日)

マジ当てはいかんでしょう

「映画秘宝」の谷垣健治君のエッセイを読んでいたら最近日本の現場で「マジ当て」をやっている現場があって、スタントマンの鼓膜が破れたり骨折して病院へ運ばれていることに随分と憤慨していたが、これは怒ってあたりまえだろう。谷垣君はドニー・イエンやサモハンのもとでアクションコーディネイトを長くやっていたから「ここぞと言う時の一撃」が本当に当たってしまうのは仕方がないし、それを怪我をしないように避けるのもスタントマンの技術であると書いていたが、僕が「発狂する唇」や「血を吸う宇宙」で組んだ熊欣欣(ホンヤンヤン)もシュッチュンワイも、決して「マジ当て」はしなかった。むしろ、どうやって本物のように当てているかと言う「ウソ」を上手につくのがプロフェッショナルの仕事であって、これは谷垣君も書いていたが「本当に当たっていても撮り損ねたら何にもならないからちゃんと撮れよ」と言うのは正しい。

 僕の次回作も「いかに本物であるかの嘘をつくか」がテーマであるが、だからと言って人間の口の中に本当に刃物を差し込んで脳天から突き出せたりだの、身体の中で蛆虫を培養させてみるだのと言うことを本当にしようとかは全く思わない。

 映画には本当にそこにあったかのように見える嘘や、鈴木則文の映画のように嘘を嘘で固めていく方法も両方あって、本当にいろいろな映画があると思うんだけど、人の命をわざわざ危険にさらしながら撮っても誰も幸せにはならないと思う。

 昔、O林さんという大先輩の監督が「僕の映画関わってしまった全ての人が幸せにならないと僕は嫌なんです。僕の映画に関わった人が一人でも不幸になってはいけないんです」と言っていた。それは本当にその通りだと思う(これはある映画でロケハン中の食事に入った蕎麦屋で突然ロケをしたいとこの監督が言い出し、スタッフが交渉したところ断られた時に言った一言。で、なんとかロケ交渉に成功したところ、営業時間始まる前に撮影終わると言う約束が大幅に破って結局朝まで徹夜ロケをやって、この蕎麦屋を不幸のどん底に叩き落しのではあるが)

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コメント

そうですよね。昔の時代劇なんかを観たら殺陣が自然で上手いなと思ってしまいます。本当に当てたら、リアリティは出るんだろうけど、芝居にならないというか。

投稿: 熊 | 2008年12月 6日 (土) 08時47分

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