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2008年3月16日 - 2008年3月22日

2008年3月21日 (金)

高間賢治さん嘆く 

http://blog.livedoor.jp/kenjitakama/archives/64783615.html

 カメラマンの高間さんとは仕事をしたことがないけど、低予算映画であっても、映画への技術者の想いはハイバジェットの作品と変わらずに強いことがわかります。が、しかし中々報われないことも多いこともわかる。この場合はテストの上での結果なのでいたしかたないと言えるかもしれないが、予算的に苦しくてもプロデューサー、技術者双方がお互いに予算内でいいものを造れるように努力していくことはこれからも必要だろうと思います。昔と違って、様々な方法論が模索されていく時代で、少しの手間を惜しむことが作品のクオリティに大きく響いてしまうこともあるので、予算内で最大限の模索を続けることは必要であろうと。
 
 ただ一方で、技術者の我儘で予算を超えるようなことは決してあってはならないと思います。お互いが納得できる方法論を時間をかけて話し合って何度もテストしてでも探し出していかなくてはいけない。その手間だけは惜しんではいけないと思うのです。

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2008年3月19日 (水)

0093 女王陛下の草刈正雄

 

『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック DVD 『0093女王陛下の草刈正雄』+『スパイ道』ツインパック

販売元:TCエンタテインメント
発売日:2008/02/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

遅ればせながら「0093」を観ました。この映画は「スパイ道」と言う短編シリーズがBsiで放送されていて、その劇場版と言う流れの作品なのですが、そのルーツを辿れば2003年の春に初めて篠崎君が声をかけて始まった「刑事まつり」にたどり着くのだと思いますが、この映画は見事にその「刑事まつり」で篠崎君が目指していた緩―いナンセンスコメディの反復であろうかと感じました。いくつか007のパロディ的な面も出てきますが、こう言うパロディ描写よりも、スローモーションを実際に芝居でやって見せたりする漫画的なナンセンスさは、むしろ大和屋竺さんが「毛の生えた拳銃」とかで描いてみせたストップモーション芝居なんかの表現に近いのではないか?

 こういったナンセンス表現と言うのは、恐らく「毛の生えた拳銃」なども低予算ゆえのオプチカル処理をしないでストップ表現をいかに見せるか、と言うことから始まったのではないかと思われるのですが、一方でカット割が簡略化されるので非常に即物的な印象になって、コメディと言うのは人物をいかに即物的な表現で見せるのかと言うことが非常に重要で例えば大袈裟に言えばキートンのいくつかの壮大な表現の裏返しだろうと思うし、最近ではザッカー兄弟などのギャグ表現がそれに近いかもしれない。いや、やっていることは大きく違うのですが、多大な予算を浪費する解放感は低予算映画ではできないが、この映画のスロー表現はそうした快楽に近いものをどうやって得ることができるかを考えさせてくれます。この即物的な表現と言うのは実はコメディと恐怖描写表裏一体となっているもので、例えば黒沢清監督が同じ表現を前後のシチュエーションを変えることでホラーにもなりギャグにもなると言うことを「DOOR3」と「勝手にしやがれ」で実践していて(人形を車に轢かせるカット)、篠崎君がホラーを撮りたいと言うのも凄くよくわかるわけです。

草刈さんを使って「スパイ道」をやってみせる。こう言う企画が結実するのがBsiの凄いところで、思えば「銭形零」のファーストシーズンの最終回撮影の頃に丹羽さんから、「篠崎誠監督を紹介してほしい。彼がやっている「刑事まつり」の方法論をBsiにうまく組み込み、新人発掘育成の場にしたい」と言うことで、数年後、それがこう言う映画の形になって現れるのはとても素晴らしいことでではないかと考えます。

また、篠崎君がBsiの仕事に携わることで、「刑事まつり」に関わっていた多くの新人たちが何らかの形でBsiの仕事を経験できたと言うことも忘れてはならないことでしょう。ある制約の中で自分の表現をどこまでやり切れるか?映画であれ、テレビドラマであれ、制約のない現場と言うのはあり得ないわけで、そこをどうやって折り合いをつけていくのか?制約を否定するのは簡単だけど、制約の中で自由をどこまで獲得していくかは本人次第ですが、そう言う場所があり、そう言う場所を積極的に創っていった丹羽さん、Bsiの仕事は今後ももっと評価されてもいいのではないかと思われます。作品それぞれがうまくいくかどうかは監督個人の責任ですが・・・。

と言うわけで少し横道に逸れましたが、「0093」は僕にとってはちょっと「刑事まつり」の頃を思い出すと少し懐かしくもあり、自分を変えない篠崎君は立派だったと、そのルーツは「大和屋映画」になるのではないかと考え、そうであればできれば次回は虚構を本気で描き切る切なくも厳しい乾いたコメディホラー映画を創って欲しいなと感じました。

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2008年3月17日 (月)

マカロニウエスタン2本立て

十字架の長い列 DVD 十字架の長い列

販売元:エスピーオー
発売日:2003/11/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 マカロニウエスタンのビッグ3に次ぐ4番目の男として、マカロニファンにはお馴染みの名前アンソニー・ステファン。マカロニウエスタンを大きく大別すると、イーストウッドの名無し3部作や「ウエスタン」「夕陽のギャングたち」のようなセルジオ・レオーネによる確りとしたA級予算のマカロニウエスタン。それより、ちょっと格は落ちるけど「土曜洋画劇場」や「月曜ロードショー」の華だったフランコ・ネロ、ジュリアーノ・ジェンマらの70年代前半まではメジャー作品だったマカロニウエスタン「続荒野の用心棒」「荒野の1ドル銀貨」など。さらに、ちょっと格オチするのがこの4番目の男アンソニー・ステファンのB級マカロニだ。さらに格落ちするとテレビ東京でのみ放送されたジョージ・マーチンだのフェンルナンド・サンチョなど、ジェンマやネロのマカロニでは悪役だった連中が堂々と主人公を演じているのがあるけど、この中にもたまあに傑作があるから侮れない。

 と言うわけで、今日は「無宿のプロガンマン」と「十字架の長い列」と言う2本をスカパーで「ザシネマ」チャンネルで観た。2本ともにSPOからDVD発売されていて、デジベに落としたニュープリント版があるせいなのか、この放送も奇麗なプリントでの放送だった。
 僕が外国映画を観るようになったきっかけは、幼少時に観たハマーフィルムの怪奇映画であり、小学生の頃に夢中でテレビで観たマカロニウエスタンだった。初めておこずかいを貯めて買ったLPレコードは2枚組のマカロニウエスタン音楽集だった。そのLPの中に入っていて中々観ることができず、一度だけ深夜に観たことがあったのが「無宿のプロガンマン」だった。ドン・パウエルと言う黒人歌手によるカッコイイテーマ曲(当時のLPのライナーノーツによる)が中学生の脳内を痺れさせた。で、久々に観ましたが、ストーリーは語るべきものは特にないですね。マカロニウエスタンは物語を楽しむものじゃなくって、哀愁のテーマ曲に酔いながら、あり得ないガンアクションを楽しむ映画ですから・・・。それにしても、第4の男アンソニー・ステファンは、遠目にはイーストウッドにも見えるし、近くによるとフランコ・ネロにも見えなくはないけど、トータルではもっさりとした印象のオジサンですね。

 「十字架の長い列」は、同じようなキャラの賞金稼ぎステファンに、
ウイリアム・バーガーの牧師で殺し屋と言ういかにもなキャラが絡む映画です。このウイリアム・バーガーのキャラクター、日本で演じたら絶対故岸田森が演じたらはまり役になるんじゃないかって、つまりクールなんだけど濃い、あり得ない個性の立ったキャラと言うことですね。このウイリアム・バーガーがなんか、蓮根みたいな7発同時に弾が出る多銃身のライフルを持っていて、これがなんか見た目凄そうなんですが、実際にはどういう効力があるかよくわからない。1回の発射で数名倒すわけでもないし、1回の発射で扉をぶち破ったりするわけでもない。ただ7発の弾が同時に発射されて、「1人の」敵を倒すだけなんですね。で、これを何回も発射して7,8人くらいを殺すんですが、つまり8人殺す間に56発は使っているわけでなんとも効率の悪いライフルだなあと。
 エンディングは、もう「夕陽のガンマン」の決闘シーンをカメラアングル、カット割りごとぱくって盛り上げるのが素晴らしい。でも、時々引き金なめのカットだとか、結構ギミックでスタイリッシュな構図で撮影されていて、やはりこれもイタリア映画なんだなあと。最近、ダリオ・アルジェントをちょっと見直してまして、マカロニウエスタンに通じる泥臭いスタイリッシュさを感じました。ベルトッリの映画なんかも通じるところはあると思いますよ。

 マカロニウエスタンは、ストーリーを効率よく昇華させて楽しむアメリカ映画とは違う魅力持った、ヨーロッパに生まれた娯楽映画の一つの典型ではないかと思われます。
 監督のセルジオ・ガローネは「女囚ファイル 美女集団監禁~ゲシュタポSM収容所」(日本公開題名「ナチ女収容所 続・悪魔の生体実験」)なんて言う映画も撮ってますね。

  

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