西の魔女が死んだ
助監督時代の師である長崎俊一監督の「西の魔女が死んだ」を恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞。原作はかなり著名なものらしいけど、僕は全く未読。それゆえなんの前知識もなく、ジャンル性すらわからぬままに鑑賞。かなりフィクション性の高い物語を自然に自然に創り手の意図が見えないような演出で描き出していく静謐な描写は中々力が入っていて見応えがある。ただ、1シーンの中でトリッキーに時制が変わったり(苺狩りで祖父が死んだ話を回想する場面)、普段は殆ど人間の目高の位置にあるカメラがクレーン効果(やはり苺刈りのシーンの俯瞰)で妙にスペクタクルな映像を創りだしているところにバランスの悪さを若干感じさせるのが気になった。ただ、それが気になると言うのは他のシーンの統一感がしっかりしているからなのではないかと思いました。それにしても力作は力作です。
長崎俊一監督の最高傑作はテレビの2時間枠で放送され、その後諸般の事情で封印された「最後のドライブ」と言うフジテレビ製作の実録犯罪ドラマだと思っている。それと「誘惑者」「闇うつ心臓(8ミリ版)」かな。長崎監督の良さは現代に生きる歪んだ人間の精神病理ぎりぎりの不条理なまでに激しいキャラクターによるメロドラマであり、日本のジョン・カサベテスになるべき監督だと思っている。いや、カサベテスにはない昇華を長崎映画には内包されていて、そここそが長崎演出の真骨頂だと思っている。
昔、僕が脚本を書いて長崎監督が演出した日活のエロVシネがあった。もう23年くらい前の話だ。僕が書いたのは20歳そこそこの女子大生2人の明るい青春物語だったのだが、それを長崎さんは物語に主人公の心象風景を足していくことで大どんでん返しをさりげなく持って来て、僕が描いたハッピーエンドを思い切り絶望的なものにしたことがあった。当時僕はチーフ助監督も兼任していたので、ここまで演出によって物語と言うのは大きく変わるもので、それは長崎さんが演出したのだから僕は腹が立ったり驚くと言うよりは驚異と尊敬の念を持って観ていたが、シニカルと言うのとは全く違う暗い情念をクールに描き出す長崎映画の真骨頂を脚本家として助監督として目の前で直接経験できたのは非常にいい勉強になったと今でも思っている。
ちなみに、全く偶然、「西の魔女が死んだ」の劇場でばったりとBsiプロデューサーのアンドリウさん親子に遭遇。確かに親子で観るべき映画なので、ばったりと会って当然なんですが、これだけ広い東京でこの時間に会ってしまうとは・・・いや僕は仕事今日さぼって映画観にったわけじゃありませんが・・・。
明日はまたまた別件の打ち合わせで赤坂です。

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