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2009年6月

2009年6月30日 (火)

編集

 昨日は練馬の大永編集室でPVの編集作業を朝から終日。画は大体組みあがっていたので、僕が入ってから編集方針を話し合い使いたい画とカッティングの流れを雑談を交えながら話し合って、あとは編集部に任せる。撮影の金谷氏が相当にいい画を撮ってくれているので、逆に切りどころが難しい。いい画だなあって観ているとあっという間に曲が終わってしまうので、大胆に刈り込むところは刈り込んで、感情が残る場面は逆に伸ばしていこうとメリハリをつける。金谷氏と僕が組むのは5回目だけど、今回が一番いい仕事が出来たんじゃないかと思う。やはり、時間と金をかけられると画は断然よくなる。ちょっとした粘りで待つことが1カットのクオリティを上げているのが良くわかる。PVは画が命だからそこは間違っていなかったんだろう。さすがに岩井俊二監督と組んで初期の傑作を撮ってきた金谷氏の本領発揮だった。金谷氏はいまや叙情派カメラマンと言えるのではないだろうか。編集はずっとパソコン画面だったので、帰って、編集素材のDVDを妻と一緒に自分の家の40インチテレビで確認したら、妻が涙を流して感動してくれた。編集上がりでこんなことは滅多にないが、つまりこれは成功しつつあると言うことだ。主役の女の子はいままで恐らくベストの芝居をしてくれているし、彼女の代表作になる映像が創れたんじゃないかと思う。身体はまだ神経痛が残っているが、いい作品ができつつあると言うことで痛さも忘れてしまった。明日はスポンサーチェック。この流れが変わらないことを祈る。

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2009年6月28日 (日)

神経痛と エロティックハウス 愛奴

 クランクアップと同時に坐骨神経痛に襲われ、骨盤の横から臀部、太腿にかけて針で突くような激痛が断続的に走りちょっと苦しんでます。そんな中、昨日は仕事仲間の見舞いに行ったりしたんですが、さすがに今日はグロッキー。最初の編集は大永君に任せて僕は終日休養にあてました。神経痛の時は出来るだけ、身体に負担をかけないようにとWebで読んだのでプールとサウナでリフレッシュ。多分疲労から来るものでしょうが、だいぶ楽になりました。

 夕方は「エロティック・ハウス 愛奴」と言う1972年の香港映画を観ました。この間「武侠回答怪盗英雄剣」を観て、チュー・ユアンの演出とレズの悪役の親玉ベティ・ペイティが素晴らしかったので、その2人がショーブラザースで組んで初めて撮った本作をどうしても観たくなったのですが・・・。いや、これは見てよかった。雪の中のセット撮影のオープニングの静謐なシーンから、突然「愛奴」と言うタイトルと共に大仰で尚且つ扇情的で感傷的なテーマ曲が流れる中、絢爛たる娼館のセットの中を踊るようにリリー・ホーが着替えていくタイトルバックで傑作の予感がしたがその予感は外れることなく、最後まで久々にフィクションの面白さを堪能した。

 宇田川幸洋さんのライナーノーツには石井輝男監督の60年代後半の異常性愛時代劇との相似を示唆されていたが、石井監督の異常性愛ものと言うより僕には鈴木則文監督の「徳川セックス禁止令」とか「エロ将軍と二十一人の愛妾」などを思い起こさせた。石井輝男と鈴木則文との違いと言うのは、もっと批評で論ずるだけの価値があると思うが、端的に言うと石井監督の映画は新東宝の時代からモダニズムと整然とした論理的なカット割りによるアメリカ映画的な嗜好と、映画の中に暗黒舞踏を取り入れたり明らかに異形なもの、アヴァンギャルドなものへの憧憬が入り混じった露悪的な映画と言う二つの要素が迫力を持って強く感じられるのが特徴で、一方の鈴木則文監督の場合にはどんな題材を扱っても基本は加藤泰門下のセンチメンタリズムとダイナミズム溢れるアクションが確りとした映画としてあくまでも1シーン1シーンが構築されるべきして構築された強固なカットの積み重ねによってのみ表現されている映画で、両監督共に70年前後の東映映画と言うちょっと異常な状況の中に置かれて似ているようで、その根本は結構違うと思われる。鷹揚に言うと石井輝男は欧米的なセンスで、ソクブンの場合はアジア的なあくまで日本映画的なセンスではないかと思われる。

 話が横道にそれたが、「エロティックハウス 愛奴」の素晴らしさは、そうしたアジア的なロマンの中にヒロイン活劇の要素が見事に入り込み、ラストは両腕を失っても尚且つ唇に仕込んだ毒薬でレズビアンの愛人を殺そうとする切ないが壮絶なエンディングを活劇性とセンチメンタルなロマン溢れる演出で描ききる。ストーリーそのものは、成り上がりの娼婦の復讐劇と言う他愛ないものだが、ショウブラザースのセット撮影の絢爛さと悪のヒロイン2人の素晴らしさで、僕にとっては一級の娯楽映画となった。これ、東映の映画館でなんか東映のアクション映画と二本立てで観たかったなあ。最近見た旧作香港映画ではベストワンの傑作でした。

 

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2009年6月27日 (土)

PV撮影と現場論の1

 音楽と映像の融合と言うのはミュージカルが好きでいろいろやらせていただいていたけど、この2日間は結構贅沢な撮り方をさせていただき楽しい撮影だった。スタッフが少なくても優秀なベテランの人材を適所に配置した方が、仕事が出来ない若手スタッフを多数起用するより現場の撮影効率はよくなる。と言うことを実践できたのが嬉しかった。この現場では「無理です」「それは出来ないでしょう」と言う泣き言を吐くスタッフが一人もいなかった。これは先日撮った「ケータイ刑事」の現場でも同様のことが言えた。今現在「ケータイ刑事」のスタッフはベテラン中心の編成になっているが、誰一人「それは出来ません」と言うスタッフがいなかった。

 仕事をしているとわかるが、若いスタッフの欠点は、「できません」「それは無理です」が二言目に来ることだ。経験値が足りなくて「知らない」だけで、「出来ない」こととは違うのだが、「知らない」ことを恥ずかしいこととして認めようとはせず「出来ない」と返してしまう。

 例えば、「ケータイ刑事」の現場にはミニジブと言う撮影用のミニクレーンが常備されているが、若いスタッフが来ると「これは古くて使いにくいクレーンだからやめましょう」となって、中々使ってくれないことがあった。それをこの間のベテランカメラマンは意図も簡単に使いこなし、中々素晴らしいカメラワークをしてくれた。そんな話を今回のPVのカメラマンに話をすると、ミニジブと言うのは実は使いこなすのが難しく、2,3年目のカメラマンには無理かもしれない、それは自分の腕がまだ足りていないからで、機械のせいにするのは経験値が少ないからなのだろうと言う事だった。

 若い気心しれたスタッフと仕事をするのも楽しいかも知れないが、やはり扱いにくくてもベテランの職人と仕事をする方が絶対に作品のクオリティは上がるし、時間の短縮にもなる。但し、ベテランにはベテランのプライドもあるから中々ギャラの面で折り合わないこともある。そう言うときにこそ、プロデューサーのコストパフォーマンスを発揮して、使うべきところと使わなくてもいいところのメリハリを考えるべきだと思う。今回のドラマPV撮影はそういった意味でコストパフォーマンスの素晴らしい仕事になったのではないかと思う。

 

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2009年6月24日 (水)

衣裳合わせ

 今日は明日から撮影の音楽PVの衣裳合わせでした。ミュージックビデオなんですがミュージシャンは出演せず、女子高生2人と男子高生1人の田舎の夏を舞台にした青春ショートストーリーです。こういう仕事、10年前の僕なら来なかったと思います。でもここ1年「東京少女」を撮ったおかげで、そのノウハウもわかってきたし、カメラがPVも劇映画にも撮りなれている金谷氏なので映像は安心して任せられると思うので、僕はとにかく、主人公の切ない思いを映像に焼き付ける努力をしようと思っています。この曲も僕は大好きだし、主役の子も何回か撮ったことがあって可愛く撮れる自信があるのできっといい作品になるのではないかと思われます。衣裳合わせの方は昨日確り準備したので、粛々と終了。

 詳細はクランクアップ後に発表します。さて明日から撮影だ!太陽が僕らの味方をしてくれますように。こういう仕事はとにかく現場を楽しくしなくてはね!明日は三浦~湘南、明後日は銚子で撮影予定です。

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今日はMAと衣裳合わせ

 午前中から昼過ぎにかけて「ケータイ刑事 銭形命」のMA。劇伴はブラームスのようなクラシックの曲をいくつか引用させて貰った。MAは粛々と完了し納得のできる仕上がりになったのではないかと思われます。

 そしてMA終わり次第助監督の佐伯と合流してプロモーションビデオの衣装チェックをしに日暮里の衣装部まで。佐伯はもう2時間ドラマの監督までやっている人間で、僕の助監督としては「ケータイ刑事 THE MOVIE」以来4年ぶり。本当は佐伯なんか頼んではいけない仕事かもしれないけど、少数精鋭でいかないと今回は乗り切れないと判断したので敢えて頼んだのだった。

 衣装の方は、明後日クランクインなのだが、俳優部の都合で前日にしか衣装合わせが出来ないので衣装だけでもチェックしてほしいとのこと。ドラマの時は、中々衣装に注文出して衣装合わせそのものが仕切りなおしになることは少ないけど、かつて佐伯がセカンド助監督として「発狂する唇」や「血を吸う宇宙」で衣装を担当していた時は、彼がノイローゼになるほど僕は衣装にオーケーを出さなくて、結局デザインして創って貰うことが多かったから、その時の記憶が彼には残っているのだろう。しかし、今回は制服が中心だからそんなに大変じゃないんだけど、やはり前日と言うのが怖いのだろう。ドラマの時は衣装合わせすらやらないこともあるから慣れたけど、今回のスタイリストは中々センスが良かったので一安心。

 いや、佐伯とは別の意味で僕はかつて衣装合わせと言うと胃が痛んだものだった。80年代後半、丁度僕がセカンド助監督として衣装を担当していた頃、撮影所の衣装部だけでは到底対応できなくなっているにも関わらず、まだスタイリストと言う人たちが映画の現場に入ってくることは至難のことだった。なぜならそこは「衣装さん」の領域だったからだ。しかし、衣装部の衣装だけでは最新の女性のファッションは揃わないし、タイアップも下手糞、男のスーツだって「これいいな」と思うと裏地に血糊を仕込んだあとがあったりして、それでもそれを名前のある俳優さんたちに着て貰わなくてはいけなかった。だから、スタイリストが入らない衣裳合わせになると、どんどん暗い雰囲気になっていった。その後、衣裳と言うものの考え方が根本的に変わって、やる気のある衣裳部は独立してスタイリストになっていき、今ではスタイリスト的なセンスがないと衣裳部も成り立たなくなってきた。衣裳は俳優の演技プランにも大きな影響を与えるからとても大事なところです。ただ流行の服を着せていればいいというわけではないのが難しい。そうそう、昔は「スタイリスト」と言うと脚本を読み込まずに流行のファッションを主役に着せたがる。と言う偏見が衣裳部にはあったんじゃないかと思います。実際そう言う人もいたし・・・。実際衣裳部には衣裳部のプライドもあったんですよね。石原裕次郎さんの時代は、確かに撮影所の衣裳部がデザインした服を縫製部が造って、そこから流行が生まれたりもした。森英恵さんは日活の衣裳部出身だったそうですしね。でもいいスタイリストさんたちは増えてきているんじゃないかなと思います。

 

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レスラーとかつまらない予告とか

昨日は午前中仕事をやって、午後からチネチッタへレスラーを観に行く。なんか川崎で観るのに相応しい映画だったが、都内でも限られた劇場でしかやっていない映画を観られるのは嬉しい。

 映画は手持ちカメラ多用の(多分ビデオ撮り)で、下手なフェイクドキュメンタリーより生々しい演出で、腐りかけの初老のレスラーを演じる腐りかけた顔に見えるミッキー・ロークの無様な日常を追いかける前半が面白かった。ただ後半、物語がベタな展開になっていくと、登場人物の心の動きが唐突で、娘が父親と邂逅する段階が早すぎる気がするし、マリサ・トメイが試合に駆けつける展開も唐突に感じた。これは演出がドキュメンタリー風であるので、それとベタな展開が一致していないからではないかと思ったがどうだろう?それにしても、スポーツ映画を撮る時の本気度はアメリカ映画にかなわない。

 ところでチネチッタは予告が少ないので嬉しいのだが、この映画は日活が配給なのかいつもより多くの映画の予告編が流れていたが、日本映画はどれも観たくなる欲望を起こさせないものばかりだった。予告の作りが画一的で、出ている俳優も似たり寄ったりなので、役者の顔は思い出せてもタイトルは全然頭に残らなかった。予告編ってその昔は助監督の仕事であり、その次に広告代理店がCMプランナーに任せていたけど、最近は宣伝会社の人が作ることが多いと思うのだが、予告編そのものの出来は20年位前のCMプランナーたちが作っていた時代の方が出来が良かったように思える。僕は一度だけ、CMディレクターの助監督を一本だけやったことがあったが、この時のディレクターが東映洋画の予告(つまり角川映画の予告)を専門にやっていた人で、字幕を出すタイミングだとか、いかに見ている観客を嘘で惹きつけるかを学んだ。この時の経験は「ケータイ刑事 THE MOVIE」の予告編を自分で創った時に生かせた。

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2009年6月21日 (日)

村中俊之(Vc)×松尾依里佳(Vn) DUO LIVE

 昨夜は、渋谷の公園通りクラシックスで村中俊之(Vc)×松尾依里佳(Vn) DUO LIVEと言うコンサートへ妻と共に行ってきました。チェロ奏者の村中さん、バイオリン奏者の松尾さん2人のデュオによる素晴らしい室内楽の調べでしたが、それだけではなく、ジャズの飛び入りのように能楽師で和笛奏者の一噌幸弘さんが参加したり、音楽の楽しさを充分に満喫してきました。村中さんや松尾さんとは、4月の辰巳琢朗さんの家でのホームパーティで知り合ったのが縁で、この日のコンサートのことを知って、約束どおり行って来たわけです。松尾さんが最近、テレビのクイズ番組やバラエティ番組に出ているせいなのか、チケットは完売状態。僕らは前もって松尾さんにチケットを予約していたのでなんとか入れたと言う感じでした。

 でも楽器が出来るって素晴らしいですね。小劇場の乱立で役者は芝居が下手でも舞台が出来る時代になってきましたが、楽器は下手ではプロになれませんからね。絶対に。特にクラシックは。村中さんも、ロックに影響を受けた楽曲を演奏してくれたりしていますが、確りと普段はバロック音楽のコンサートにも参加していていたり、飛び入りした一噌幸弘さんなんかは、能舞台で能楽師として活躍しながら、音楽の可能性を広げようとクラシックのコンサートにも参加したりと、あくまで音楽の基礎は確りとした基盤を持ちながらそこから破壊したり発展したり、新しい可能性に挑もうとしている。映画やドラマも一緒ですね。あくまで基礎が確りしていてこそ、冒険や挑戦が出来る。思い付きじゃ駄目だということですね。思いつきの発想はいいけど、そこから先は経験と実力に基づいた基礎を組み立てられないと意味がないと言うことですね。そこがせめてアマチュアとプロの差になってくるのではないかと思われます。

 昨日は本当に素晴らしいコンサートを体験させていただきました。村中俊之さん、松尾依里佳さん、若くて素晴らしい才能の持ち主たちをこれからも僕らは応援して行きたいと思います。と言うか、また二人で組んで東京でライブをやって欲しいです。昨日は本当にありがとうございました!

松尾依里佳さんオフィシャルサイト

http://www.erika-m.jp/

 

 

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2009年6月20日 (土)

武侠怪盗英雄剣 ネタバレしまくり

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昨日は、いろいろな案件の返事待ちがあって自宅待機。「家にいていただけますね!」と念押しされることが二件もあると流石に出られない。それでもお昼過ぎには、ラゾーナ川崎まで妻と出かけて買い物にだけは行ってきた。

帰ってから、「武侠怪盗英雄剣」と言う香港映画をDVDで観ながら連絡を待つ。この70年代後半に創られた武侠映画は有名な武侠小説の映画化らしいけど、内容はとんでもないへんちくりんな、それでいて魅力的な映画だった。主人公は,狄龍ティ・ロン。「男たちの挽歌」の渋い禿の兄貴からは創造しにくい美丈夫なキャラ。モテモテで女の子3人の子分を連れて「殺しはやらない」ことを信条に悪事を働く、「ルパン3世」みたいな盗賊。このティ・ロンが、自分に着せられた濡れ衣を晴らすために、ロールプレイングゲームのように様々な敵と戦いながら謎を解いていくミステリー仕立ての話なんだけど、後半映画の世界観が一変。レズの女ボス貝蒂さんが出てくると、いきなりエロ仕立てになる。絢爛豪華なセットの中で、ノラ・ミャオとレズシーンなんかがあったりする。しかも、どんでん返しが凄い。ティ・ロンをはめた真犯人は、実は前半から登場している善玉風の僧侶(これはカンフー映画によくあるパターンですね)なんだけど、こいつが実はもと女性の両性具有者で、女ボスの貝蒂さんのかつての恋人だったりする。しかも現在は貝蒂さんの愛人のノラ・ミャオと出来ていたりする。この両性具有のキャラ演じる岳華(ンゴッ・ワー)、すごくごついオッサンなんだけど目だけはなんとなく女性ぽく見えなくもなく、しかも物凄く悪い役でティ・ロン以外の人物全員を皆殺しにしてしまう凶悪なキャラ。

 脚本の作劇があんまりうまくないので、途中でブックレットのストーリを目で追ったりしないと人間関係がよくわからなくなるのが難点。これは馴染みない名前が頻繁に出てきて、しかも台詞だけで説明される部分が多いのが原因。これじゃ字幕なしの香港映画を観る時と一緒だ。でも、後半貝蒂さんが出てくる後半は、セットの素晴らしさもあってエロ演出とアクション演出が冴える。セットのど真ん中に巨大な噴水池があって、貝蒂さんが愛人と戯れるために使った大きなブランコが後半のアクションに効いて来て、ラス殺陣のきめでティ・ロンに打たれた岳華が血まみれでこのブランコにぶら下がって、ユーラユーラ揺れた後に噴水池の中に落下。主人公の前を、誰も乗っていないブランコがユーラユーラ揺れている画面にクレジットが浮かぶと言うエンディングは格好よかった。

 この映画。パッケージを見るとノラ・ミャオとティ・ロンがヒーロー・ヒロインで登場する映画だと勘違いしてしまいそうなデザインなんだけど、映画の中で一番魅力的だったのは年増美人のレズ親分貝蒂さんと両性具有者を演じた岳華の2人。監督のチュー・ユアンはショウ・ブラザースデビューの時も貝蒂さんをやはりレズの役で使って「エロティックハウス」なるエロティック武侠映画を撮っているらしいので観てみよう。

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2009年6月19日 (金)

編集とか打ち合わせとか

朝から緑山スタジオで「銭形命」本編集。粛々と順調に終了。零の頃は画面構成に凝って合成を多用した演出をしていたが、あまりトリッキーな撮り方に興味が薄れてきたのか、自分なりにシンプルなカット構成で繋いでいく。ウエルメイドを目指すというより、端正な作りを目指すというべきか。どんな映画を観ていても技法なんか感じさせない演出じゃないと本来は駄目なのだとつくづく最近は思うのです。そういった意味では、ちょっと地味かもしれないど今回は極めてオーソドックスな「ケータイ刑事」スタイルに拘りました。

夕方から乃木坂の事務所に移動して、来週撮影する音楽PVの打ち合わせ。音楽PVと言っても、俳優による完全ドラマ仕立ての物語なので、ショートフィルム作るように美打ちがあったり、CGの打ち合わせがあったり、結構長時間の打ち合わせ。

終了後は、夜から渋谷に移動。脚本家二人とずっと準備している映画の脚本について中華レストランの個室で打ち合わせしつつ会食。鴨肉の燻製のてんぷらが非常に美味しかった。さすがに編集→準備→打ち合わせのコンボは頭が疲れてしまうが、ストレスがそんなにないのは、どれも気のあった仲間たちとの仕事だからだろう。

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2009年6月17日 (水)

雨月物語 と編集

 税金のことはともかく、朝から「ケータイ刑事 銭形命」の編集を自分の部屋で研究しながら緑山の編集室とウェブでやりとり。クイックタイムのやりとりで尺調はあと8秒ほどまでの誤差に縮まる。

 その間、気分転換には重すぎるがハイビジョン放送と言うことでブルーレイレコーダーに撮ってあった溝口健二の「雨月物語」を20年ぶりくらいに観る。ハイビジョン放送とは言え、プリントの状態があまりよくなかったけどそれゆえに名画座で観ているような気分になる。この名作に対する評はもう僕なんかがするまでもないが、久々に見ていて思ったのは、この後の大映京都時代劇のスタッフたちのスタンダードが溝口健二のレベルであったろうと言う事。具体的に言えば宮川一夫と溝口健二が創り上げた画面構成、立ち込める霧とリアリティある日本画のような美術、ダイナミックな撮影、構図、照明。勿論、その後の娯楽時代劇には溝口の映画のような予算や時間もなかったからここまでのクオリティはなかったかもしれないが、そのDNAは明らかに引き継がれていた。特に三隅研次の諸作品における画面の構築力は溝口DNAがかなり引き継がれていると思える。ただ、残念ながら撮影所の崩壊と共にこの系譜は見事に絶たれている。勝新太郎の死が止めだったと思うが、もう再現できる道はないだろう。重厚な美術と撮影に裏打ちされたあくまで品があった大映娯楽時代劇。その原点は紛れもなく永田雅一ではなく、溝口と宮川コンビだった。

 で、「雨月物語」が「ケータイ刑事」の編集に何か影響を与えたかって・・・それはまあ、今回も長回しは間違っていなかったなくらいは確認できたかな・・・・。明日は本編集。頑張ります。

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うわあたけえ

 今年度ぶんの税金と国民健康保険の請求書が来たわけですが、さすがに去年の印税とか大きかったから覚悟はしていたがたけえええええ。特に国民健康保険料金高すぎ。限度額いっぱいに近いじゃないか・・・。もっと資産のあるところからがっぽりとってくださいな。僕も高額納税者になったら思い切り支払いますから・・・。

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2009年6月16日 (火)

松崎さん

その後の仁義なき戦い [DVD] DVD その後の仁義なき戦い [DVD]

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発売日:2005/07/21
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 松崎さんとは、僕が大好きな「その後の仁義なき戦い」の話で盛り上がりました。松崎さんの本格初主演映画です。特に工藤栄一監督の演出方についてはいろいろと勉強になることも多く、こういう現場での何気ない会話から学ぶことはたくさんあります。興味ある方は是非観て欲しい映画です。ちなみに「トミー&マツ」のプロデューサーはこの「その後の仁義なき戦い」の松崎さんを見てキャスティングを決めたとのことでした。

 「その後の仁義なき戦い」は深作欣二のシリーズとは何の関係もない独立した映画ですが、やくざ映画と言うより青春群像劇としてとてもよく出来た映画なのでぜひぜひお勧めです。

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久々に倒れました

 土曜、日曜は「ケータイ刑事 銭形命」の撮影、短い撮影期間だったけどなんとか乗り切る。松崎さんも岡本さんも勘が凄くいいので、こちらが要求する割と難しい動きに対応してくれるので長回しと細かいカット構成のバランスが割りとうまく行ったように思える。僕としては、1話目にチーフ監督の個性がでてくると思うのでその路線を大事にしつつ、ケータイ刑事のオーソドックスな形に拘って演出してみたつもりです。僕が最初に関わったのは銭形泪からなのですが、泪を最初に撮った時のような気持ちに立ち返って撮りました。

 ただし、短い時間でのハードワークだったのでさすがにオーバーワークになってしまい、翌日月曜早朝から次の仕事のロケハンだったのですが、このロケハン中に39,4度の高熱を発して倒れてしまい、千葉県の犬吠崎からロケハンも早々に切り上げて帰ってくる羽目になりました。いきなりの高熱とあって当然インフルエンザを心配し、妻にかかりつけの病院に連絡をとってもらい、診察してもらえるかどうか聞いたところ、高熱と嘔吐感と下痢だけで風邪の症状が出ていないので診察してもらえるとのこと。とにかく39度の熱なので、家へ帰る記憶も定かでないくらい朦朧とした中で帰ってきたのですが、病院へ行って、検査をすると「ウイルス性胃腸炎」と言うことが判明しました。「食あたり」の可能性もあるとのこと。いずれにしろ、過労から体の抵抗力が失ったところで胃腸になんらかの病原菌が入り込み、活発に活動し始めた結果とのこと。翌日になれば治るとのことでした。

 と言うわけで、今朝はまだ腹痛は残ったものの熱は下がったので、三浦半島のロケハン。懐かしい三崎高校へ行ってきました。一日ですっかり回復したからやはり風邪とかインフルエンザではなかったんでしょうね。明日は出かけずに、もう上がってきた「ケータイ刑事」の自宅編集作業です。一見すると前の日に観た成瀬の「ひき逃げ」の影響が少し出ている感じがしなくもない。

 しかし銚子で高熱に襲われた時は焦りました。このまま命の危機も感じましたよ。突然の40度近い熱は。みなさんもこの季節は胃腸に気をつけましょう。

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2009年6月12日 (金)

イン前日 成瀬のひき逃げ

 明日から撮影なんですが、少しでもいい映画のDNAを注入しようと思っていたら成瀬巳喜男の「ひき逃げ」を日本映画専門チャンネルでやっていたのでHD録画。お昼を食べて、父の日の贈り物を買いに妻と川崎のラゾーナまで出かけ、帰ってきてからゆっくり2人で「ひき逃げ」を観ました。白黒シネスコで昔文芸座か並木座で観て以来。それがこの日本映画専門チャンネルもハイビジョン放送になっていたので、初めて高画質で観たことになるのですが、全編こんなにハイコントラストに焼いていたのか、現場で絞りを開けたか成瀬の映画にしては非常に硬質な画面作りの映画になっていました。芝居もいつもよりかなりオーバーな演技をしていて、ちょっとキムギヨンの「下女」に通じるようなダークサイドな空気感を感じましたが、それは主演の高峰秀子より、なんかいやあな感じの初老の女中の賀原夏子や気品があるのにエロティックな司葉子の存在と、アジア的な下品さと、嫌らしさのある小沢栄太郎など俳優たちの力によるものがかなり大きいのではないかと思われました。勿論、いつもの成瀬の芸術的なまでに過不足ないカット割も堪能できるのですが、成瀬にしては珍しくカメラを斜めに構えてゆらゆら揺らせたり、フラッシュバックを使ったりしてあからさまに不安感ある画面造りをしていて、そうそうつまりかなり「ベタ」な演出をしているのが凄く面白かったんです。そういった意味で、「失敗作だよ」と言う声と「いや傑作だ」と言う声の両方を聞いていたのですが、これは紛れもなく成瀬が撮ったジャンル映画の傑作と呼べるものになっているんじゃないかと感じました。

 映画が終わって、自分の明日からの作品のカット割の確認をしたんですが、あまりのスケジュールの厳しさに今回はちょっとかなり喝を入れて臨まなくちゃいけないなあと少し襟を正しました。最近はイン前日はそんなに緊張yしないなんて書いたこともありましたが、今回は久々にちょっと緊張しています。まず確り撮りきることそれが明日の大命題です。

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2009年6月11日 (木)

また抜歯

 朝一で歯医者へ行き親知らずを抜歯。これでようやく左の奥歯全てにブリッジが施される。麻酔と痛み止めでぼうっとしながら、麻酔が覚めてくると痛みが戻ってきてどうにもならなくなる。その間にも週末の天気がちょっと危ういのでスタッフから断続的に連絡が来たり、映画の脚本の打ち合わせの段取りも整えたり、PVのCG打ち合わせの話をしたりと、もう頭がパンパン。さすがに余裕がなくなってくる。と言うか、今日は抜歯の影響で頭が痛いのを忘れるくらい落ち着きのない一日となった。4月とか全然忙しくなかったのになあ。とにかく来週は昼夜問わず休みがなくなりそう。明日くらいはイン前日で少しは頭と心を休められるかな。

 ぞんな中ロシア人監督の「ウオンテッド」をブルーレイ鑑賞。頭が疲れている時はこういう映画はいいかも。この監督の「ナイトウオッチ」「デイウオッチ」と言うロシア映画も同傾向の作品らしいが、ラストのアンジェリーナジョリーの死にっぷりが格好よくて、主演の駄目男の変貌だとか後半実はこうだったとかより女優で魅せる映画として楽しめた。が、これも三日かかった。どうにも忙しくて映画を楽しめる余裕がない。1本日本映画を劇場で観たが、これはまあ書かないことにしておこう。

 さて、精神安定剤に成瀬でも見るか。

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2009年6月 9日 (火)

理想と現実

 昨日から週末の撮影に向けてカット割りして、割り本作り。いつもはイン前日くらいにスタッフに渡すように作るんだけど、今回はイン前に次の音楽プロモーションビデオのロケハンも入ってきそうなので予め準備しておかなくてはいけない。PVと言っても完全ドラマで、ショートフィルム作るのと同じ位の労力は使いそうなので準備が大変なのだ。で、ようやく大半のカット割を終え、今回はこうしようああいようと目論んでいたのだが、助監督さんからスケジュールがメールで送られてきて現実に引き戻される。いまの演出プランでは、こりゃ撮りきれん。今回は久々の復活なので、王道中の王道で行こうとプランを立てたんだけど、またいろいろ工夫して、もう一度、明日朝からシュミレーションやり直しだ。まだまだ試練は続くが、試練があってこそ出来上がったときの喜びもひとしおなので頑張ろう。

 PVの方は、スタッフがなんだか豪勢で「血を吸う宇宙」&「学校の階段」&「ケータイ刑事 THE MOVIE」のスタッフが少数精鋭ながら集合した感じ。この面子ならすぐにでも本編撮れますがな。

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2009年6月 4日 (木)

ロケハンとか冤罪事件とか

 朝から東京縦断でロケハン。帰ってから歯医者。しかし、今日冤罪事件の人のニュースを見ていて久々に怒りがこみ上げる。ついでにこんな記事も読んでさらに怒りがこみ上げる。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090604/trl0906041213005-n1.htm

 小沢事件の時も思ったけど、検察が正義だなんてあり得ない。何が正義かって議論もあるが、国体と言うものを守るために何をやってもいいのが正義なら僕はそう言う正義は信じない。昔若松孝二監督のピンク映画で、集団レイプされたヒロインが亡霊になって蘇り、なんか昔の古典の一説を読み上げながら男たちを日本刀で切り殺していく物語があったが、あの時のレイプ犯たちが刑事、検察官など国家権力の象徴として描かれていたのが面白かった。菅家さんも本当に無念で、自白を強要した刑事たちには復讐を遂げたい思っているでしょうなあ。

 むかし高橋洋さんと話をしていて、「世の中には本当に怒っている人と言うのは、怒鳴ったりしないが、静かに心のそこからの怒りを目にたたえている。最近では松本サリン事件の冤罪の河野さんが本当に怒っていた目をしていた」と言っていたが、今日の菅家さんも「(当時捜査に関わった警察と検事を)絶対に許さない」と言ってたが、菅家さんも本当に怒っていた。

 ところで、上記の若松さんの映画のヒロインを演じていた島明海さんはその後、若松プロのデスクをやっていて、僕が東京に出たての頃に若松プロを尋ねると、映画に出ていたヒロインの人が事務をやっていてびっくりしたものだった。で、あの頃は夕方になると酒を出されて、ガイラさん、福岡芳穂さんらと共に僕も若松さんにしこたま説教を食らった。いまは、BSーTBSの打ち上げなどで一緒になるとすっかりお年を召されて優しくなったけど、むかしは、何か政治的なことを常に議論されていて、そこでこっちが迂闊に一言でも口を挟むと容赦なく論破され攻撃された。その攻撃具合はディレカン時のゴジさんどころではなかった。でもいまでも「連合赤軍」のような立派な映画を撮られれているんだから、やはりこの老人は凄い。「東京少女」も僕の倍以上のスピードで撮り上げちゃうしね。

 若松さんには、まだ元気なうちに「連合赤軍」のような大局的時代を描いた映画ではなく、今日の菅家さんのような「人の怒り」と言うものを、泥臭いテーマで描くバイオレンス映画を撮って欲しいと思います。

 いま調べたらこの上記の若松孝二監督の映画は「現代性犯罪 全員殺害」と言うタイトルでした。タイトルと中身が一致しないピンク映画にあって、これは内容とタイトルがそのものずばりです。

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2009年6月 3日 (水)

脳内活性

 読まなくてはいけないものがいっぱいあって、また書かなくてはいけないものもあって、明日からロケハンで頭が落ち着きません。昨日はジムで少し汗を流したら楽になったけど・・・。ひとつひとつなんとか落ち着いてやっていくしかない。明日のロケハンに備えて今日は少し休もうかな。そうだ、せっかくDSiを買ったんだから脳内活性ソフトでもないかな。

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