不意打ち Lady In a Cage
日本ではDVD未発売で、海外でも既に絶版になっていたウオルター・グローマン監督の「不意打ち」のDVDをAMAZON=UKで中古予約していたものが届いた。今年の初め頃に予約していたのですっかり忘れていた。これも「悪」についての勉強です。
それにしても、冒頭の不穏なそれでいてヒッチコックの「サイコ」や「北北西に進路をとれ」みたいなオープニングが格好いい。それでいてなんかいやあなことが起こりそうな雰囲気がありあり。
主演は往年の名女優オリビア・デ・ハビランド。初老の足が悪い婦人が、一階と二階を上り下りするために作られた家庭用のエレベータの中に閉じ込められてしまい、その間にどんどん嫌な人間や悪漢たちが侵入してきてしまうと言う物語。この侵入者たちのキャラクター造詣が圧巻。浮浪者、浮浪者と関係ある中年娼婦、若い頃のジェームス・カーンが演じる残虐なリーダーの3人組の悪党。もう、この時代のアメリカに存在する下層のワルを登場させ、プチブルの老婆を苛めたおす。酷いのは、最後に頼りにしていた溺愛していた息子が実は別荘に自殺にしに行ってました。と言う設定で。今そこで起こっている地獄を抜け出してもこの主人公にはさらなる絶望しか待ち受けていない。と言う非情な内容。
それでいながら悪の勉強になったのは、この凶悪な若者のリーダー、ジェームス・カーンが息子が書き残した遺書をエレベーターの中のオリビア・デ・ハビランドに語って聞かせる場面。絶望的に泣き喚く老女に対し、己のトラウマもあって憐憫の目をジェームス・カーンを向ける。馬鹿なだけの弟分と、エロエロ情婦の若い金髪女とは全く違うキャラクター造詣をジェームス・カーンは演じてみせる。とにかく殆ど密室劇で観ている間中イライラ感が募るバッドテイスト満載のサスペンス映画。
今回はオリビア・デ・ハビランドがかつての往年の名女優ぶりから一転、醜悪に太りつつある肉感的な胸をぎりぎりまで晒したりしながら中年の腐りつつある女の魅力を表現。50年代~60年代はかつての往年の名女優を主人公にして、婆さんサスペンスリラーとでも言うべき映画がたくさん作られているがこれもそう言うジャンルの一編なのかな?オリビエ・デ・ハビランドではベティ・ディビスと競演した、ロバート・オルドリッチの「ふるえて眠れ」とかでも品があるのに嫌な婆さんキャラを演じていたが、こういう往年の名女優を主演にした残酷スリラーとか日本でもやりませんかね?
森光子さん主演の「何がジェーンに起こったか?」みたいな映画とか。
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