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2009年7月26日 - 2009年8月1日

2009年7月30日 (木)

白い肌の異常な夜とか

ここ数日は、脚本が部分的に送られてきてそれに対して修正案を送ったり、また待ったりと言う日々が続いておりました。待つと1日は長く感じますが、歳月はあっという間に過ぎていく、そんな感じです。母が去年亡くなったのを聞いたのが、PFFのダグラス・サーク特集の会場でチケット切る直前だったのを思い出します。

 と言うわけで、先日は京橋のフィルムセンターでぴあフィルムフェスティバルの招待作部門「映画監督イーストウッド誕生」の中からドン・シーゲル監督による「白い肌の異常な夜」を観て来ました。

 PFFの招待作部門はかつてはフランソワ・トリフォー全作上映をやってトリフォー本人もまだご健在だったのでゲストで招かれたり、或いは日本では当時絶対に見ることが出来なかったルイス・ブニュエルのメキシコ時代の映画まで含めた全作上映をやったり、マキノ雅弘の全作上映をやったりして当時ビデオが流通する前だったので、相当に活況を呈していて、そう言うシネフィルお祭り騒ぎと8ミリで作られた自主制作映画が一緒の会場で上映されることに意義があったようにも思えるけど、日本で拓かれる他の映画祭同様、PFFも年々規模が縮小され、それでも続けていくことには意味があると思うのだけど、今回のように中途半端な作家の招待作上映と言うのはちょっと寂しい気がしました。と言うより予算がないなら企画で勝負して欲しいなあと。

 上映前にPFFディレクターの荒木さんがイーストウッドを普段見ない層に観に来て欲しかったけど、結局いつもイーストウッドを観る人たちばかりになってしまっているのが残念、みたいことを言っていたけど、DVDでも鑑賞できる作品群だとやはりスクリーンで映画を観たいと言う人たちが、映画ファンの中にも減ってきているだろうし、そこを敢えてPFFが埋めて行こうと努力していくのはわかるけど、それなら、もう少し餌をばら撒かなくてはいけないのではないだろうか?例えば僕らの世代は自主映画を創りながらも、トリフォーやブニュエルに対する興味は随分とあったし、ブニュエルのメキシコ映画なんか伝説中の伝説なので中々見られなかったから毎日のように通ったわけだが、昨日の会場や去年のダグラス・サーク特集などはやはりアテネフランセの客は来ていても、インディーズの映画作家たちが観に来ている率は低いようにも思えた。

 映画には興味を持つ人は多くって、いろいろな映画を自主映画からピンク映画、ハリウッド映画、ヨーロッパ映画、旧作の邦画、洋画、そのすべてを観ることが必要だと思う。だからシネフィルが興味を持つ映画と、自主映画好きな人を横滑りさせて行こうと言う試みは物凄く応援したいと思う。こういう映画祭は絶対になくしてはいけないと思う。ただ、これは映画だけに限ったことではないがいろいろな価値観が細分化され、映画の枠を横断して観ていく傾向は失われつつあるのも事実だ。いまは海外のDVDサイトまで執拗に追いかければ、観ることが出来ない映画と言うものは存在しないくらまでになったと思う。だから興味を持つ人間はどんどん深いほうへ行くが、自分が興味を持たない分野には全く興味も示さなくってきているのも確かだ。 なぜ、情報が少なかった昔の方が、様々な種類の映画を観ようという気になったのだろうか?

 それは「知らないことへの興味」より「知っていることをどこまでも掘り下げていける面白さ」を選べる時代になったから、自分の欲求が好きなものを追い求めるだけでも充分に満たされる時代になったと言うことなのだろうか?それでも、出来ればもっともっと自分のテリトリー以外のジャンルへの興味を持って欲しいと思うのは確かだ。

 ところで「白い肌の異常な夜」はやはりスクリーンで観ておいて良かった。あの恐怖のシーンは劇場では笑い声が起こってさえいたが、やはり痛すぎる。イーストウッドがあんなめにあってしまうなんて!でかいスクリーンで観ると余計に際立つ。しかし、凄いのは殆ど直接的な描写のカットはないという事だ。にもかかわらずあそこまで生理的に痛さを感じさせるのはこの映画か、増村保造の「赤い天使」の野戦病院の描写かどちらも双璧だろう。

 あ、ひとつぴあの荒木さんに苦言を呈するとこの映画をドン・シーゲル監督作品として一言も紹介しなかったことだ。イーストウッドを作家として語るとき、ドン・シーゲルの名を忘れては絶対にいけないはずなのに・・・。是非、来年はドン・シーゲル全作上映をお願いします。

 後一回、8月1日の朝10時から「白い肌の異常な夜」は上映されるので、是非観に行くべきだろうと思います。

 さて、僕は明日から日曜まで母の一周忌で北海道へ帰ってきます。1年は本当に早い。

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2009年7月27日 (月)

訃報 山田辰夫さん

 たったいま、青山からメールをもらって山田辰夫さんの死を知った。僕にとっては「GO CRAZY」と言う東映Vシネマで一緒に仕事をして、つい最近も、日活のスタジオセンターで山田さんがアフレコの時に若い主役2人に「おいおめーらよお、ちゃんと芝居のこと考えてやれよお、口だけ合わせてんじゃねえよお」と言っていたのを思い出して、若い役者にきちんと怒れる先輩の俳優のは少なくなったなあと思っていたところだった。

 山田辰夫さんと言えばなんと言っても石井監督の「狂い咲きサンダーロード」だろう。でも僕にとっては「GO CRAZY」のやさぐれた新聞記者の男だ。最初に日活撮影所で会ったときの山田さんは、「狂い咲きサンダーロード」の人がちょっとだけ大人になっただけの、とっぽい役者に思えた。芝居に対しても厳しく、若い主役の役者を本気で怒ってくれる先輩だった。当時のVシネは時間も予算も少ないのに、カーアクション、ガンアクション、エロ、など大人の娯楽の要素を詰め込まなくてはいけなかったので、毎日徹夜徹夜のロケだった。千葉の日活の保養所を宿泊先にしていたが、ロケから帰ってくると山田さんはビールを用意して僕を部屋へ呼んで、翌日の芝居について語り合ってくれた。僕もまだ若かったからそれに答えて、毎日少し酒臭い息で現場へ行っていたように思う。作品が仕上がって、東映加工で初号があった日に、普段着を着て現れた山田さんは「俺こういう映画好きだなあ、跳ねていて、また監督とやりたいから呼んでくれよ、な、」と言ってくれた。

 しかしその後、山田さんと仕事をする機会のないまま14年が過ぎ去り、今夜訃報を知った。山田さんは気難しい面もあって、テレビドラマの現場などではあまり呼びやすい人ではなかった。が、そのことを臆して声をかけなかった自分が情けない。正直、扱い易い俳優ではなかったと思う。でも、扱い易い人だけが生き残っていくと言うのも情けない話だ。いい作品を創るためには気難しい俳優だろうがスタッフだろうが、使いこなせてこその監督であり制作会社だと思う。

 正直とても辛い気持ちです。本当に映画を愛し、芝居を愛していた役者が一人でも減るのは日本映画界にとってとてつもない損失だと思います。去年は峰岸さん、今年は山田さん、本当に頑張って自分で映画を早く撮らないと駄目ですね。どんどん悔いだけが残っていく。

 悔しいです。今夜は。

 「GO CRAZY」の山田さんは本当に素敵でした。

 山田さん、いつか僕はあなたに誉めてもらえるような映画をまた撮りたいです。僕があの世に行ったときにまた一緒に映画をやりましょう。

  

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2009年7月26日 (日)

母の霊が僕にハマー映画のDVDを買わす

 

フランケンシュタインの逆襲 [DVD] DVD フランケンシュタインの逆襲 [DVD]

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007/10/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

60年代のハマーフィルムのホラーが廉価版で出ていることを知ったり、海外版で日本では未発売のハマー映画のアンソロジーがあることを知ったり、一方でいまやっている脚本に何か参考になるものはないかと言う欲もあってとにかくこの1週間でハマーフィルムのホラーDVDを安価で買いまくった。
 ふと思い出すと、僕にハマー映画の面白さを教えてくれたのは亡くなった母だった。母は、若い時分にテレンス・フィッシャー「フランケンシュタインの逆襲」を映画館で観た記憶があって、僕が買ってきた少年マガジンなんかの巻頭特集に「世界の妖怪、モンスター」なんかがあるのを見ると、「フランケンシュタインの逆襲」の再録語りを夜中に聞かせてくれたりした、僕には「夜中に人知れず、死体を盗みに墓場へ行く」と言う場面がなぜか怖かった。
 その後小学2年生の時に、初めて「ミイラ怪人の呪い」と「フランケンシュタイン死美人の復讐」の2本立てを封切で見せに連れて行って貰ったことで、僕のハマーホラーへの憧憬の歴史は始まった。母は、ハマー映画と言うカテゴリは知らなかったが、クリストファー・リーとピーター・カッシングのファンではあった。だから、78年に「スターウオーズ」特集の映画雑誌を見ていて、そこに悪役としてピーター・カッシングが出ているのを知った母は、スペースペラなんかには全く興味のなかったのに、「スターウオーズ」を見たがって一緒に観に行ったのを覚えている。

 その母がなくなって、まもなく一周忌を迎えようとしている。母の死は去年PFFのダグラス・サーク特集「悲しみは空の彼方に」の会場で知った。ハマー映画のDVDをここに来て買い漁るのは、母の亡霊がそうさせているんじゃないかとそんな気がしてきた。

 本当は脚本の上がりが遅れていてイライラして買い物しまくっているだけなんですけど!

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