2008年6月 7日 (土)

風間杜夫ひとり芝居鑑賞

 午前中は「トリコンリターンズ(仮題)」の編集について、アップ段階で指示できる部分をまとめて編集部にメールを送り、今後の仕上げスケジュールを確認。午後は夏から撮影が始まるドラマの原作を読み、夜は新宿の紀伊国屋ホールまで「風間杜夫ひとり芝居」を妻と共に鑑賞に出かけて行く。

 この芝居は風間さんが97年から続けてきたひとり芝居の完結編にあたるもので、僕は今回が初鑑賞。妻が昔所属していた現代制作舎と言う事務所で風間さんと同じマネージャーだった縁で、風間さんの芝居は時々観に行っていますがこのシリーズは未見でした。先日読売新聞に絶賛の劇評が出たせいなのか劇場内はチケット完売の超満員。商業演劇の観客層と言うのは、今でも新聞媒体の評価と興行面おいてはリンクするのだなあと思いました。芝居の方は、これは本当に面白い。一人芝居ですから、風間さんを堪能すると言う意味で、そして芝居と言うものを堪能する意味で大満足の舞台です。世の中にはいろいろな芝居をする役者さんがいると思いますが、風間さんのような「巧さ」が演劇界だけではなく、映画やテレビ界でももっともっと重宝されるべきだし、若い俳優さんはこう言う巧さをまずは目指してほしいなあと心の底から思いました。その為には、まずは基礎なんでしょうけど・・・。時々、小劇場も含めて若い人たちの芝居を観に行くと、勢いだけでやっていて、決して芝居の巧くない人たちの演劇を見せられることがありますが、舞台で芝居が下手なものを見せられることほど苦痛なものはない。それが、いつからか映画やテレビドラマにも「勢いだけ芝居」に価値観が与えられて「巧さ」と言うものの価値観がもうひとつ喜ばれなくなってしまっている感があるんです。そう言った意味で、今回の風間さんのひとり芝居のような芝居が評価を得て観客の共感も得てヒットしているのはとてもよいことなのではないかなと思いました。

 芝居が跳ねてからは、新宿の「犀門」で風間さんやその日鑑賞に来ていた長谷川康夫さんたちとの飲み会に妻と共に参加。そう言えば妻もかつては演劇界の人だったんです。演劇の人たちとの交流は慣れていないので、ちょっと緊張しましたが風間さんから演技の話など直接いろいろお話聞けたのは楽しかったです。いつか風間さんの芝居を思い切り活かせるような役を創って、映画やドラマの現場で再会できると嬉しいなと思いました。

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2007年8月10日 (金)

宝積有香芝居 疚しい理由

夕方から宝積有香さんと川田希さんの2人が組む新ユニット「カニクラ」の第1回公演を観に妻と2人で渋谷のギャラリー・ルデコと言うフリースペースへ。久しぶりの小劇場芝居鑑賞。しかし、これがかなりの「当たり」だった。芝居は小さなスペースをパイプで作った特設座席がコの字型に取り囲む空間で行われるのだが、僕の座った席は丁度宝積さんの目線の先で、殆ど座ったままの心理劇なので、約1時間僕は宝積さんの顔を凝視続けることになった。芝居の方は、大きなどんでん返しもある心理サスペンス劇で、1時間宝積有香1人を凝視続けても飽きない良く出来た脚本と演出だったと思う。それにヒロインとしての宝積さんがとにかくいい。美しくて可愛くて、それでいて邪悪なヒロインを見事に演じきっている。何より「自分の芝居を見せてやる!」と言う傲慢さが微塵も見えないのがいい。もっともっといろいろな役に挑戦してもらいたいものだと感心させられた芝居だった。

 終わって本人に挨拶に行ったら、やはり芝居しながら僕とマネージャーの金元さんとうちの奥さんの3人顔がしっかり見えたのは気になったようだった。まあ狭いからしょうがない。僕らは楽しかったよ。

 明日、明後日も芝居はやっているので興味の或る方、宝積さんの芝居を眼前で観たい方は是非お勧めします。
 8月11日 14時30分~ 17時~ 19時30分~
 8月12日 14時30分~

 渋谷ギャラリー・ルデコ4F(渋谷新南口徒歩1分)
 前売 1800円 当日2000円 (これはお得)
 

 全席自由席で、宝積さんを確り観ようと思うなら入場してすぐ右側のパイプ席に座ることをお勧めします。奥へ行ってしまうとずっと背中だけしか観えないかも。

 カニクラユニット旗揚げはまずは成功だったのではないでしょうか。

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2006年9月 2日 (土)

ドン・シーゲルの映画がソフト化されないことへの怒り

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昨日、プロットの直しを提出し終わって夜中にクリント・イーストウッドのインタビューをBSハイビジョンで見ていたら、「ダーティ・ハリー」や「白い肌の異常な夜」の話になって、ドン・シーゲル作品を改めて見てみたくなったがイーストウッド絡み以外の殆どの作品が日本では(海外でも)DVD化されていないことを知って怒りに燃えた。まあ、渋谷のTSUTAYAあたりでもアルドリッチまではコーナーがあるのにドン・シーゲルのコーナーはない。新宿にはコーナーあるが、ここで借りると次に新宿へ出るまで返さないし、今仕事をしている会社がどれも新宿を経由しないで行ける場所なので一度借りるとこの間のように延滞になってしまう可能性があるので借りられないのだ。

 それにしても、「突破口」や「ドラブル」「テレフォン」と言った70年代のスタンダードなアメリカ映画(ドラブルはイギリスか)が日本では全く評価されていないことは映画の歴史への冒涜ではないかとさえ思われる。例えば日本映画なら石井輝男だとか中川信夫だとかはサブカルチャーとしての評価も受けて、阿佐ヶ谷なんかの再上映で人気が出たりすることもあるが、70年代アメリカ映画は権利の問題も難しいのだろうが、ここはもっと批評の立場の人たちに頑張ってほしい。ドン・シーゲル研究本は海外ではあっても、やはり日本での出版は難しいのだろうか?まあ、難しいのはわかる。黒沢清の映画が人気なら黒沢清の映画を見に来た人には強制的にドン・シーゲル本を購入させるくらいのことはあったとしても、映画の神様は怒らないのではないかとさえ思ってしまう。

 クリント・イーストウッド演出による映画が評価されるならそれ以上にドン・シーゲルは評価されなくてはいけない。

 と言うわけで数年前にスカパーHDダビングした「突破口」でも見て気を晴らそう。

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2006年7月 6日 (木)

風間杜夫 アーカイブスシアター Vol1

 朝はミサイルニュースで目を覚ます。

 昼から、新宿御苑の某社でWebサイト上映の契約。詳細は決定してからになりますが、そのうちいろいろな映画作家のところへも行くんじゃなかろうか?先週は利重剛だったそうな。

 その後、奥さんと一緒に新宿の紀伊国屋ホールで「風間杜夫アーカイブス 黄昏にカウントコール」と言う芝居を観る。

http://www.rup.co.jp/index2.html

 うちの奥さんが前の事務所で風間杜夫さんと一緒のマネージャーだった関係もあったのと、主役の一人の今井あずささんが妻の友人だったので席を取っておいて貰ったのだ。実は僕は映画は死ぬほど観ているのですが、演劇鑑賞と言うのが苦手で、中々腰が重いのだが、今回は妻に誘われたこともあったのだけど、先月紀伊国屋の前を通った時に何か勘が働いたのだった。

 お芝居の方は、かなり面白く、楽しめました。とにかく、銀ちゃん時代の風間杜夫大爆発と言った感じで、役者の巧さを堪能。風間さんは本当に巧い。最近は小劇場とか役者の芝居が巧くなくても舞台成立していますが、舞台こそ「ノリ」とか「センス」じゃなくて、役者の芝居が本当に巧くないと絶対に成立しないものだと思っているので、今回のように芝居の巧さを堪能できる舞台は本当に楽しい。演出は長谷川康夫さんで、つかこうへい劇団がかつて全盛時代にとっていた独特の「口立て」と言う演出による芝居だった。「口立て」と言うのは、演出家が口立てで俳優にセリフをつけながら芝居をつくっていくという方法で、予め台詞が用意された脚本と言うものはない。それだけに、役者の芝居が本当に巧くないとできない。これは何週間もリハーサルができる舞台独特の方法論ではないかと思う。風間さんだけじゃなく、今井さんはじめ出演している役者さんみんな素敵でした。本当に今日はみんな巧かったなあ。ちなみに、ダンススタジオの生徒役の真山さんと言う俳優さんは『血を吸う宇宙』で看守の一人を演じてくれていた人でした。

 風間杜夫さんの最近のフィルモグラフィを見ると、これだけ早口でまくし立てても絶対にかつ舌が確りしている特徴を生かした役柄と言ったものが、テレビや映画ではなかったと思う。風間さんと言うと、どこかひねた二枚目と言う印象がテレビや映画では強いが、この人の魅力はやはり、底抜けな明るさを持ったコメディだろう。パワフルで奔放な芝居は実は「モンティパイソン」みたいなものをやると絶対に面白いのになあと思う。風間杜夫と阿部寛主演のぶち切れたドタバタコメディとか撮ってみたいと言う欲望にかられました。

 終演後妻に連れられて風間さんを楽屋を訪ねると「舞台で映画の悪口を言ってしまいましたがアレは台詞ですから・・・気になさらないで」と優しく言ってくれたけど、つまらないテレビや映画より舞台の方が楽しいと言うのは本音ではないだろうか。そのくらい今回の舞台は風間杜夫さんが実に生き生きと輝いていた。5000円分の価値はあるのでお時間あれば是非、観に行ってください。詳細は下記。帰ってからも妻とはしばらく芝居談義。ベイスターズ雨天コールドで勝利。王監督休養の臨時ニュースで今日を終える。

 http://www.rup.co.jp/index2.html

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